外交担当者も「チンピラのゆすり」と証言。トランプが日本企業を個室に呼び出した夜の全貌

 

国家を飛び越える孫正義の特権的役割

さらに歪んでいるのは、この話を主導するのが、「国家」ではなく「個人」であることだ。

実は、対米投資を取りまとめる日本の中心人物は、ソフトバンクグループの孫正義会長だという。孫は、第1次トランプ政権発足前からトランプと仲良く交流しており、過去にも大型の投資を行っている。

アメリカでは、トランプ政権になってから、ロビー活動が爆発的に重要になっているらしい。政策よりもカネとコネ。「トランプと話をつなげることができる」という関係性そのものを商品にするロビー活動専門企業まで存在するほどなのだ。

孫がそのような環境を軽々飛び越えて、トランプとやりとりしているのは、間違いなく「超巨額のカネを動かせる人間だから」だと思うが、今回の対米投資についても、トランプと話しながら交渉をとりまとめる側として、特権的な役割を得ているという。

今回の対米投資では、オハイオ州でのガス火力発電所建設に合わせて、その隣に孫正義個人(ソフトバンク)が80兆円を投じてAI用のデータセンターを建設するという計画も発表されている。

日本政府が複数の企業と事業を組み合わせて、ようやく総額80兆円を捻出するという話に対して、孫正義が1人で80兆円をポンと出すというから凄まじいスケールだとは思うが、問題は、日本が公的資金から捻出して建設する発電所を利用して、自分の商売用の施設を建てるというところだ。

AI用のデータセンターを動かすには、大量の電力が必要になる。本来なら、孫が自分で発電所も建設しなければならないところだが、そこを日本のカネで建てさせるという話なのだ。

しかも当初、日本が出資する発電所建設のプロジェクトから、ソフトバンクが「仕切り役」として1兆円の手数料を受け取る設計になっていたという。さすがにこれは日本政府から文句が出て減額となったそうだが、イヤな話だ。「アメリカファースト」と「ソフトバンクファースト」に引きずられている。

では、日本政府は、一体なにをしているのか? トランプと孫が決めた「アメリカへの投資枠」を受け入れて、カネを用意し、日本企業をその枠のなかへ突き落している……といったところか。そして高市早苗は、そんな構造に乗っかって媚びを売りまくり、わけもわからず「やった感」だけで大盛り上がりする日本人の姿を代表している。高市にはこの対米投資に関する主体がないし、何も決めていないし、何もリスクを負っていない。

自分で決める国になれるか

こうなってしまうのも、日本が軍事面でアメリカにベッタリ依存して、自主独立し、自分で選択し、決断し、責任を持つのを放棄していることが原因だ。

先日の訪米時の晩餐会では、「Japan is Back! 日本は再び世界のイノベーションをリードします」と威勢よく言ってみせていたが、実態はチンピラ国家アメリカによる”ゆすり”。高市は、チンピラ国家と資産家の操り人形である。

日本は、対米依存を本気で脱却しなければならない。

高市を見ていると、「どうせ誰もかれもエゴだけで、現実は変わりゃしないけどね」と何もかもを冷笑したくなる気分に陥ってしまうが、それこそ罠なのだろう。

トランプを見ているとそう感じる。 世界には、損得だけでディールする人間ばかりではなく、強烈な信念と誇りを持ち、そのために血を流すことも辞さず、最後まで戦い抜く人間がいる。トランプは、そんな人間がいるということを理解できなかったから、泥沼にはまったのだと思うのだ。

イランには自国で解決すべき国内問題もあるだろうが、イスラム革命以来、数十年かけてこの戦争のために準備してきたのは変わらない。国家の存亡をかけて、本気で戦う気迫を見せている。

だが、トランプはその本気がわからないから、「どうせ貧乏国家のハッタリだ」と冷笑する。軽く受け止めていたら、イランはどこまでも本気で反撃してくる。

ウクライナだってそうだ。いくらバカにしても、ゼレンスキーは本気で戦っていて、損得でディールしない。

そういう「本気の人間がいる」という現実がわからず、バカの一つ覚えで暴れているのがトランプだろう。日本はそれに付き合って、ホステス外交をしている場合ではない。

「アメリカに従っとけばいい」「現実は変わらない」という態度で責任を放棄していられる時間は、実はそう長くはないのではないか?

自分で判断し、決断し、責任を持つことを放棄しない日本を作っていかなければならない。

 (『小林よしのりライジング』2026年4月7日号より一部抜粋・敬称略。小林よしのりさん「ゴーマニズム宣言・第599回『バランス感覚こそ、保守の要諦である。 』」など、そのほかのコーナーもご覧になりたい方は、この機会にぜひご登録ください)

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