トランプだけじゃない。北朝鮮を訪問した習近平が恐れを抱いている“もう一人の人物”とは誰か?

 

当事者間に「停戦の意思」が存在しないウクライナ戦争

最近、イラン情勢(米・イラン間の戦闘、ホルムズ海峡の閉鎖など)に目が行きがちで、あまりニュースになっていないように感じていますが、ロシア・ウクライナ戦争を巡る状況も変化しています。

ロシア・ウクライナ戦争は、4年4か月ほど泥沼化していますが、もはやこれは領土争奪戦ではなく、国家としての持久力を競う消耗戦になっていることは明らかです。

ロシアは中距離弾道ミサイルとドローンでウクライナのインフラを攻撃し、ウクライナは長距離ドローン(無線ドローンと有線ドローンの併用)でロシア国内の石油施設や軍需施設を攻撃して、ロシア軍の補給路を断ち、ロシア経済の根幹を揺るがすための作戦を実行して、双方とも相手の戦争継続能力を削ろうとしているのが、本当のロシア・ウクライナ戦争の姿ではないかと感じています。

歴史を見てみれば、これは第一次世界大戦後半にも似ているように見えてきます。決定的勝利が難しくなると、相手の疲弊を待つ戦争に変化し、ただただ睨み合いが続き、犠牲者の数はうなぎ登りに増え、当事国のインフラが惨めなまでに破壊され尽くして、損害が制御不能な状態で拡大し続けています。

そしてさらに、あまりにも戦争が長続きし、常態化してしまったがゆえに、当事国以外にとっては関心もコミットメントも継続せず、口々に「停戦すべき」と叫んでも、誰一人HOW(その方法)を知らず、また提示もしない状況が生まれています。

まさに袋小路に迷い込み、ロシアもウクライナも、そしてそれぞれの背後に控える“友好国”も、どこに向かえばいいのかが分からなくなっているように見えます。

よく“停戦交渉”の話題が出てきますが、ロシア・ウクライナ戦争については、停戦は非常に難しい状況に陥っていると見ています。

私はこれまで多くの停戦交渉(紛争調停)に関わってきました。その経験から言えば、停戦が成立する条件は単純で、それは【双方が、「これ以上戦っても得るものが少ない」と感じ始め、出口を探り始めること】です。

しかし現在のロシアとウクライナは違います。ロシアは敗北を認められませんし、(これは至極当然の要求ですが)ウクライナは領土の一体性(integrity)を諦められないといったように、双方とも譲歩できない事情を抱えています。

そのため、【停戦交渉は存在しても、当事者間に停戦の意思は存在しない】という状況が続いています。

そのような事態を打開しようと、ゼレンスキー大統領はプーチン大統領に公開書簡を送り、首脳会談の開催を呼びかけましたが、プーチン大統領は公開書簡を用いたコミュニケーションを無礼千万と激怒して見せ、「今、あえて会談に臨む意味が見当たらない」と全面的に拒否し、ロシア軍に対してドンバス地方全域の掌握のため、作戦のレベルアップ(段階を上げる)を命じると同時に、国内で広がる不安の払拭のため、防空態勢の迅速な強化を命じ、ウクライナ攻撃を継続し、激化させることを匂わせました。

ゼレンスキー大統領は脱米依存を確実にするために、英仏独の首脳と会談し、欧州との安全保障協力体制を強化するように要請するとともに、【ブカレスト9】(NATOに加盟する中東欧・バルト三国の9か国の枠組みで、ロシアの脅威に対抗するため、地域の安全保障やウクライナ支援について緊密な協議を行っている)の首脳会議にも出席して、ロシアの企てを挫き、力による一方的な支配構造を否定するべく、協力することを求め、こちらもまた全面的な対抗姿勢を示し、対ロ戦争の継続を匂わせています。

アメリカが中東地域に釘付けで、かつトランプ大統領のイランやイスラエルへのこだわりの強さゆえに、アメリカの関与が期待できない中、誰もロシアとウクライナの間に入ってディール・メイキングを行うことができない状況下では、近日中にロシア・ウクライナ戦争が終わる見込みは限りなく低いと言わざるを得ません(ちなみに、アメリカとロシアは、昨年8月の米ロ首脳会談時に合意したらしい“ベーリング海峡で米ロを繋ぐ海底トンネル”の実現に向けて協議をしており、トランプ大統領の関心がロシアとの経済的なディール・メイキングに移っていることを推測させる動きが、今週に入って活発化していることも申し添えておきます)。

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