アホウドリよりアホウな生物は何か?絶滅と再生が問いかける我々人類の責任

 

鳥島のアホウドリ繁殖地のモニタリングを担当している「山階鳥類研究所」の富田直樹研究員によると、鳥島には初寝崎、子持山、燕崎という3カ所の繁殖地があるそうです。繁殖期を迎えたアホウドリは、上空から自分の繁殖地を見て、仲間がいると安心して降りて来るので、まだ数が少ないうちは、本物そっくり作ったアホウドリの模型「デコイ」を目立つ場所に置いたりしたそうです。また、繁殖地の環境を守るための保全活動も続けて来たそうです。

こうした努力が少しずつ実り始めて、鳥島のアホウドリの推定個体数は、1992年には500羽、2000年には1300羽と増えて来ました。そして、2025年から2026年に掛けての現在の繁殖期は、ヒナの数が前年度の2割増しの1591羽、オスとメスのカップルは2114ペアで4228羽、繁殖前の6歳以下の若鳥が5248羽、計1万1067羽のアホウドリが鳥島にいると推定されたのです。

わずか15羽の生き残りが、75年間の保護活動によって1万羽以上に回復したのですから、これほど素晴らしいことはありません。しかし、もともとは600万羽もいたわけですし、その大半をたった20年で狩り尽くしたのも人間なのです。そして、その4倍近い75年を掛けても、もともとの600万羽にはほど遠い1万羽までしか回復できなかったのです。

環境省の最新の「レッドリスト2026」でも「絶滅危惧II類」に分類されているアホウドリをレッドリストから外すには、この鳥島だけでなく、小笠原諸島や尖閣諸島など他の島のアホウドリの個体数も増やさなくてはならないと、富田研究員は言及しました。そして、自分勝手な人間に少し皮肉を込めて、次のように指摘しました。

富田直樹研究員「乱獲で個体数が激減し、一度は絶滅宣言まで出たという、人間の『アホウ』な歴史を名に持っているとも言えるのがアホウドリです。激減の原因を作った人間の手による個体数回復の試みの成果も、こうして出つつありますが、今回の1万羽はまだまだ通過点に過ぎません。これからも保護活動を続けていく必要があるのです」

■山階鳥類研究所のプレスリリース
https://www.yamashina.or.jp/hp/p_release/images/20260608_prelease.pdf

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