【3-3.一歩引いて次を描く中国】
市場は、こうした動きに敏感に反応しています。
北海ブレント原油の先物は9月11日に110ドルに迫り、パイプラインの再稼働報道で一時100ドルを割り込みましたが、24日にはフーシ派の新たなミサイル攻撃を受けて一時108ドル台まで上昇しました。
中東と極東を結ぶ大型タンカーの用船料は8月末から8割上がり、モノはあっても届かないという状態が、価格をさらに押し上げています。
この危機の陰で、長い時間をかけた変化も進んでいます。
日本経済新聞の多部田俊輔中国総局長の分析によれば、中国の国有石油大手シノペックの首脳は8月下旬、中国の石油消費が2025年にピークを迎えた可能性が高いと明らかにしました。2030年ごろとされてきた予測が、大きく前倒しになったのです。
それでも中国が大きく揺らがなかったのは、ロシアや中央アジア、ミャンマーからのパイプラインを整え、原油輸入に占める中東の比率を約3割まで下げてきたからです。
中国は巨大な備蓄を背景に輸入量を調整し、世界の原油価格を左右する存在にもなっています。トランプ大統領は「エネルギー・ドミナンス」を掲げていますが、その実際の行動は皮肉にも、米国が築いてきた「石油の世紀」の秩序を終わらせ、中国の新しいエネルギー秩序づくりを助けているというのが、記事の結論です。
米戦略国際問題研究所(CSIS)の論考も、戦争が長引くなかで、中国が「安定した、介入しない関係者」としての評価を高めていると指摘しています。中国は戦争への反対を口にしながら、イランへの実質的な支援は限られ、ホルムズ海峡の支配を手放すようイランを公に説得することもしていません。
火事場から一歩引いたところで、次の時代の設計図を描き、虎視眈々とその主導権を握ろうと準備しているように私には見えます――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』2026年9月25日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)
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