【2-3.同盟国はどこまで守ってくれるのか】
サウジアラビアの苦境は、国交のないイスラエルへの接近にも表れています。
米ニュースサイトのアクシオスは9月15日、米中央軍のクーパー司令官が主催し、米国、イスラエル、サウジアラビア、UAEなどの軍高官がドイツで非公開の会合を開いたと報じました。議題には、フーシ派に対するサウジアラビアの作戦を、イスラエルが支援する可能性も含まれていたといいます。
ガザでの多くの犠牲をめぐって、アラブ世論の反イスラエル感情は根強いままです。それでもイスラエルの軍事力に頼らざるを得ないところに、サウジアラビアの置かれた状況の深刻さがあります。
英国のバーナム首相も9月21日、英空軍の給油機1機でサウジ機への空中給油を行うと発表しました。ただし、対象はドローンやミサイルを迎え撃つ防衛任務に限られ、期間を区切って見直すという、慎重な関与にとどまっているのが事実です。
では、最大の同盟国である米国はどう動いたのでしょうか。
アクシオスによれば、サウジアラビアのムハンマド皇太子は9月上旬、1日に2回もトランプ大統領に電話をかけ、フーシ派への攻撃を要請しました。トランプ大統領はこれを断り、情報と標的データの提供にとどめています。
その後、サウジアラビアが再び要請し、米中央軍が攻撃案まで用意しましたが、トランプ大統領は最終的にまたも見送りました。理由としては、バベルマンデブ海峡がさらに危険にさらされるおそれ、原油価格の上昇、そしてサウジ主導に任せたいという考えが挙がっています。
ラックマン氏は、これを米国が軍事力で達成できることの限界を認識し始めた兆候だと読みました。
トランプ大統領は第1次政権で、アフガニスタンのタリバンを打倒できないと判断して和平交渉に踏み切りました。今回も、イランに加えてフーシ派とも戦うのか、それとも「損切り」を選ぶのか、判断を迫られているというのがラックマン氏の見立てです。
11月には中間選挙が控えており、ガソリン価格の高騰は与党・共和党にとって大きな痛手になりかねません。イランの指導部は権威主義体制に守られて国内の不満を抑え込めますが、民主主義国のリーダーは有権者の財布から逃れられません。
経済戦争の我慢比べでは、民主主義の側が先に音を上げやすい構造があることを、忘れてはならないでしょう。
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