【日経平均】高値更新も、ドルではITバブルの大天井を越えていない

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ドルで見た日経平均は140~150のボックス。大きく抜ける条件は何か

『山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年2月22日号)より一部抜粋

日経平均は一昨年5月23日の青春期相場の大天井以降、140ドル~150ドルの間の往来相場が1年半以上も続いた。既報で述べたとおり、そのレンジから下にも上にも僅かに短期的にハミ出しただけだった。大きくはハミ出してない。

いや、実は2000年のITバブルの大天井(4月の20,833円)さえもこのレンジ内だったと言える(当時ドル円・140×150ドル=21,000円≒ITバブル大天井)ということになる。

ドルの対円相場が14年高値を越えてこないと日経平均は07年の大天井を大きくは抜けてこれない。

14年12月8日の円ドル最安値は121.85円だ。
∴121.85×150=18,277円≒週末の値

となり、日経平均は円ドル相場の呪縛から抜け出れない。

海外投資家の目からは「日経平均は140ドル~150ドルのものだ」と認識されているであろう。日経平均がドル相場の頸木から解放されることはなかろうから、そういうことになると円ドル相場が130円~140円とならなければ、日経平均は140~150ドルのレンジから抜け出れないということになる。

そのためには遅延していた実体経済へのアベノミクス効果が顕在化することだ。

現実にかつてない規模で、企業収益の改善として企業内にカネが蓄えられているが、それが川下に波及してないという実感がある。いわばダムには水が満々と蓄えられているが、下流は依然渇えている、という感じだ。いずれ、企業に蓄えられたダムの水が下流を大きく潤すことになるであろう。2014年までは企業収益改善を起点とした好循環は小さかったが、2015年は、安倍首相の言う「全国津々裏々にまで」浸透する経路を辿る必要がある。

(1)賃上げ、(2)設備・研究開発投資増、(3)増配と自社株買い、(4)M&Aなどの財務投資となって実物経済を潤す、という武者氏の言う経路だろう。

ただ、こういうことは言える。

(A)これが現実化するまでには2、3年かかる。それまで市場は待てないで「アベノミクスは失敗ではないにせよ、成功とは言えない、よって株高の限界はこれまでだ」という気分が市場を覆い包む日が来るか、

(B)または、株価は実体経済に先行するから株価が先走って経済政策の
成功を先取りして市場に具現するか、つまりは「青春期相場」の再来である。

この(A)、(B)の内の後者を市場が選択しなければ、永久にボックスを抜けないということになろう。後者を選択する市場というものは、ひとえにマインドの問題である。

昨年6月、浜田宏一博士がBS12チャネル「マーケット・アナライズ」にゲストとして出演して下さった時に「アベノミクスの弱点は何か」という質問に対して、

「日本人が日本に自信を持たないことだ」

と言って直ちに、

「私の立場で株式投資を勧める訳には行かないが、今までの15年間のような動きをしていてはダメだ」

と付け加えて帰った。このことは本稿で当時も書いた。つまりはマインドである。株も景気もマインドで動く。

 

『山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年2月22日号)より一部抜粋
著者:山崎和邦(大学教授/投資家)
野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て、武蔵野学院大学名誉教授に就任。投資歴51年の現職の投資家。著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)など。メルマガ「週報『投機の流儀』」では最新の経済動向に合わせた先読みを掲載。
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