安倍前首相の逮捕はいつか。「桜」で聴取要請した東京地検の本気度

arata20201203
 

ついに東京地検特捜部が安倍前総理に任意の事情聴取を要請した、「桜を見る会」の懇親会を巡る問題。そもそもなぜここに来て突然、読売新聞やNHKといった、安倍政権を擁護してきたメディアがこの問題に関するスクープを連発し、「安倍応援団」と揶揄された人物たちが前総理の批判を口にするようになったのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では、元全国紙社会部記者の新 恭さんがその裏側を推測するとともに、国会を軽視する新旧の首相を厳しく批判しています。

桜疑惑再燃の舞台裏で火花を散らす新旧首相

さぞかし、菅首相の心中は穏やかではなかったに違いない。

病を得て退陣したはずの安倍前首相が、薬で元気をとり戻すや、何事もなかったかのように各種会合に顔を出して、「私なら1月に解散する」などと、お節介な発言をしていたのだから。

在職中いろいろ批判はあったが、小泉元首相の勇退後などは、潔く、静かなものだった。後任首相の安倍晋三氏に影響を及ぼすような言動は控えねばならぬという当然の心得があったからだろう。“武士のたしなみ”といえるものかもしれない。

当の安倍晋三氏には、そんな心得などみじんも感じられない。俺はまだやれるぞ、とアピールするのに躍起だ。

前のトップが求心力を維持するために動き回る。「嫌な感じ」というのが、菅首相の本音ではないだろうか。ただでさえ、来年の総裁選で安倍前首相を担ぎ出そうという凝り固まった連中がうようよしている党内事情だ。

おまけに、就任早々、日本学術会議の任命拒否問題でつまずいたかと思うと、このところの新型コロナ感染急拡大である。安倍氏のチョロチョロした動きが、ただでさえ高ぶりがちな神経にさわったであろうことは想像に難くない。

まるで、そんな現総理の腹のうちを見透かしたかのように、東京地検特捜部が、安倍氏の地元秘書らを「桜を見る会」疑惑で事情聴取した。それをスクープしたのが読売新聞やNHKだった。

「桜を見る会」の前夜祭を巡り、安倍氏らに対して政治資金規正法違反容疑などでの告発状が出されていた問題で、東京地検特捜部が安倍氏の公設第1秘書らから任意で事情聴取をしていたことが、関係者の話でわかった。特捜部は、会場のホテル側に支払われた総額が参加者からの会費徴収額を上回り、差額分は安倍氏側が補てんしていた可能性があるとみており、立件の可否を検討している。

【独自】安倍前首相の公設秘書ら、東京地検が任意聴取…「桜を見る会」前夜祭の会費補填巡り(11月23日12時32分 読売新聞オンライン)

会場のホテル側が作成した領収書には去年までの5年間にかかった懇親会の費用のうち安倍前総理大臣側が少なくとも800万円以上を負担したことを示す内容が記されていることが、複数の関係者への取材で新たに分かりました。

“安倍前首相側 800万円以上負担”示す内容 ホテル側領収書に(11月23日19時33分 NHK)

安倍政権を応援してきたメディアが、手のひらを返したように、安倍氏を追い詰めるようなニュースを他社に先駆けて報じたことが、あれこれと想像をかきたてる。

たとえば、菅首相の腹心といえる警察庁公安畑出身の元内閣情報官、すなわち杉田官房副長官、もしくは北村滋国家安全保障局長が、法務省ルートで得た情報をリークし、読売やNHKの司法担当記者が特捜幹部への夜回りで裏を取って記事にしたのではないかというようなものだ。

もちろんこれは、加計学園の獣医学部新設をめぐる「総理のご意向」文書を本物だと証言した元文科省事務次官、前川喜平氏が出会い系バーに出入りしていると読売新聞にリークして書かせた杉田・北村コンビの“実績”から連想されるものにすぎない。

政官界の闇の深さははかりしれないが、いくらなんでも安倍前政権から重用されてきた杉田、北村コンビがそのような真似はしないだろう。菅首相も官房長官時代に口裏を合わせてきた身である。

ここは検察担当の読売、NHKの社会部記者が、政治部とは違う心意気で、夜討ち朝駆け取材を敢行し報道したと受けとめておこう。

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