トランプがネタニエフにぶつけた「お前は狂っている!」という苛立ち。変化し始めた米国とイスラエル“同盟の目的”

shutterstock_2549133687
 

世界各地で同時多発的に進む、紛争や緊張の拡大。国際情勢が不安定化する中にあって、我々はこの状況をどう捉え、そしてどこに解決の糸口を見るべきなのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の「無敵の交渉・コミュニケーション術」』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、中東のみならず、東アフリカやアジア太平洋地域でも進行する「危機の連鎖」を分析し解説。さらに「勝利を目指す外交」から「管理を目指す外交」へと発想を転換する必要性と、対話の扉を閉じない姿勢の重要性を訴えています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:世界は大戦争に向かっているのか?“秩序の崩壊”ではなく“秩序の再編”が始まった国際情勢

「誰が勝つか」ではなく「どこで止めるか」。“秩序の崩壊”ではなく“秩序の再編”が始まった国際情勢

「お前は狂っている!」

「一体、何をやっているんだ?」

これは先日トランプ大統領がネタニエフ首相との電話会談の際に、ネタニエフ首相にぶつけた怒りと苛立ちの言葉と伝えられています(同じことをトランプ大統領に言いたいなあ、思いますが)。

日本では依然として「アメリカは常にイスラエルを全面支援している」という理解が一般的なように思われますが、現場で外交関係者と話していると、最近は少し違った景色が見えてきます。

もちろん米・イスラエル間に長年存在する“特別な同盟関係”が修復不可能なほど崩壊しているわけではありません。

しかし、“同盟の目的”が変化し始めているように見えます。

これまでにもお話ししたように、イスラエル国家と国民にとって現在最大の脅威はイランです。そのためイスラエル政府は依然として、「イランの軍事力弱体化」や「イランの代理勢力(ヒズボラ、ハマス、フーシー派など)の無力化」、「イランに対する“絶対的”軍事的優位の維持」を優先し、外交安全保障政策を実施しています。

一方の米国の対イラン作戦の目的は違います。ワシントンが今最も恐れているのは、“中東全域への戦争拡大と他地域へのドミノ現象、そしてアメリカが対応できなくなる事態”です。

先週号でも厚めに触れましたが、ホルムズ海峡が封鎖され続ければ、原油価格は急騰し続け、各国でインフレが再燃し、その結果、世界経済に混乱を引き起こして、世界市場が混乱します。

【関連】ホルムズ海峡封鎖が本当に恐ろしい理由。「原油価格高騰」より深刻な世界経済の“信頼コスト”

その“混乱”は各国の安心を奪い去り、自由経済ブロックの国々にとっては、アメリカへの信頼が低下し、アメリカを中心に構築されてきた戦後秩序と“常態”が破綻していく恐怖を感じるきっかけになります。すでに日本を含む親米国は、それぞれに対応を取り始めていますが、それによって各国の“自立”が進む半面、アメリカが誇ってきた覇権と影響力が急速に低下していく現実が鮮明になってきています。

Make America Great Againを国際社会においても叫ぶトランプ政権にとっては、アメリカの威厳が損なわれ、各国がアメリカから離れていく事態は受け入れがたい状況と言えます。

そのような状況下の米国にとって重要なのは、「イランを倒すこと」ではなく、「世界各地で同時進行的に勃発している戦争を管理すること(Manageすること)」ですが、ここに米・イスラエル間の戦略目標のズレが生まれています。

外交の世界では、同盟崩壊は突然起きるのではなく、まず優先順位の違い・ズレとして現れますが、今回の米イスラエル関係の悪化・緊張はまさにその段階にあると見ています。

その大きなきっかけとなっているのが、イラン情勢の扱い方と、ガザ地区(パレスチナ、ハマス)やヒズボラを巡るレバノン情勢に対する両国の見方・認識の大きな隔たりです。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print

  • トランプがネタニエフにぶつけた「お前は狂っている!」という苛立ち。変化し始めた米国とイスラエル“同盟の目的”
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け