マンションのディベロッパーは、大きな夢を売る仕事です。住宅という大多数の人には一生で一番の大きな買い物を決意させるほどの夢を売っているのです。「パークスクエア三ツ沢公園」の販売広告に、どんな夢を売る言葉が並んでいたか…。それを、これほどひどい形で裏切ることになった罪深さを、ちゃんと分かっているのか…という思いが、社長の謝罪を求める声につながるのだと思います。
最後は金銭的な形でしか償えない部分があるとしても、それを工事施工業者にすべて持たせるというのではなく、売主自らも住民と同じ痛みを背負う覚悟をして誠意をつくす…それが、大きな夢を売った企業の責任ではないでしょうか。
その自ら負った痛みがあればこそ、二度とこのようなことがないようにという改善につながるのだと思います。それができてこそ大企業であり、企業ブランドではないでしょうか。
そして、昨日、「パークシティLaLa横浜」に関して、三井不動産レジデンシャルが示した補償内容が明らかにされました。
●傾いた棟だけでなく全4棟を建替える方針を「基本的枠組み」とする
●建替える場合も、建替えない場合も転居希望者からは、不動産鑑定士による新築想定価格で買い取る(以前に示した、過去のもっとも高かった時期の価格で買い取るという考え方よりより有利な条件提示といわれています)
●建替え中の仮住まいの家賃や引っ越し費用、家具保管料等を負担する
●現在行っている地盤調査など安全性確認中の宿泊ホテル代等を負担する
●精神的な苦痛や今後発生する様々な負担に対する慰謝料を支払う
この保障案の提示を評価する住民の声が多いとされる一方、区分所有者全員(全棟)の5分の4の賛成を得て建替え決議をするにはまだまだハードルがあるとされています。
が、今、ボールはかなり受け取りやすい状態で、三井不動産から住民、管理組合側に投げられていると言えるのでしょう。
私は、この記事をほぼ書き終わった時点で、このニュースを聞いて、「パークスクエア三ツ沢公園」の方々は、どう感じたのかと思わずにはいられませんでした。
メールをくださった方が言われるように、三井不動産は「パークスクエア三ツ沢公園」の事例から学んでいると思います。
そして、この三井不動産の発表を聞いて、住友不動産の方々は「パークスクエア三ツ沢公園」での自分たちの対応を今、どう思っているでしょうか…。
image by: 熊谷組
『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』
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