もしもの「失業保険」すら食い物にする、天下り利権の闇

omura20171201
 

多くの方が、毎月の給料から天引という形で徴収されている雇用保険料。言うまでもなく「万が一」の時のために支払い続けているわけですが、もしもそれが、私たちが期待しているのとは違った目的で集められ、使われているとしたら…。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では著者で元国税調査官の大村さんが、「雇用保険は多くの善良な会社員にとって、いざという時に役に立たない」としてた上で、政治家や役人がそのシステムや保険料を都合よく利用しているという「真実」を暴露しています。

なぜ雇用保険は役に立たないのか?

雇用保険というのは、解雇や倒産など、もしものときに自分を救ってもらうための保険です。この雇用保険が充実したものであれば、少々景気が悪くても、人々は生活にそれほど影響を受けないで済みます。

しかし、日本の雇用保険は、本当に困ったときには役に立たないのです。サラリーマンにとって、雇用保険が必要な場面というのは、長年、勤務してきた会社を何らかの形で突然、辞めざるを得なくなったときのはずです。昨今の経済情勢では、急にリストラされたり、急に会社が倒産したりすることは珍しいことではありません。そして、雇用保険というのは、そういうときのためにあると言っても過言ではないはずです。

日本の雇用保険は、そういうときには実はほとんど役に立たないのです。たとえば、20年勤務した40代のサラリーマンが、会社の倒産で失職した場合、雇用保険がもらえる期間というのは、わずか1年足らずなのです。今の不況で、40代の人の職がそう簡単に見つかるものではありません。なのに、たった1年の保障しか受けられないのです。職業訓練学校に入れば支給期間が少し延びたりするなどの裏ワザはありますが、それもたかがしれています。だから、日本では、40代以降の人が失業すればたちまち困窮してしまうのです。

しかし先進国の雇用保険は、決してこんなものではありません。先進諸国は、失業保険だけではなく、様々な形で失業者を支援する制度があります。その代表的なものが「失業扶助制度」です。失業扶助制度というのは、失業保険が切れた人や、失業保険に加入していなかった人の生活費を補助する制度です。「失業保険生活保護の中間的なものです。この制度は、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデンなどが採用しています。

たとえばドイツでは、失業手当と生活保護が連動しており、失業手当をもらえる期間は最長18か月だけれど、もしそれでも職が見つからなければ、社会扶助(生活保護のようなもの)が受けられるようになっているのです。

他の先進諸国でも、失業手当の支給が切れてもなお職が得られない者は、失業手当とは切り離した政府からの給付が受けられるような制度を持っています。その代わり公共職業安定所が紹介した仕事を拒否すれば、失業保険が受けられなかったり、失業手当を受けるためには、財産調査をされたりなどの厳しい制約もあります。

日本の場合は、失業すれば雇用保険はだれでももらえるけれど期間は短いし、雇用保険の期間が終われば、経済的には何の面倒も見てくれないのです。

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