「スター・ウォーズ」食わず嫌いの映画監督が見た、最新作の評価は?

 

その中で、おそらく唯一と言っていいほど異彩を放っていたのが、『スター・ウォーズ』でした。

明るかったのです

惑星間の戦いや生死をかけた攻防はもちろんありますが、当時の他のSFに比べると、僕の目から見る限り、圧倒的に明るかった

そして、今も圧倒的に明るい

ひとつの惑星には、多種多様な生物種が住んでいるようだし、見た目のかなり異なる種族も同じ社会にいることを許容されている

どこまで社会的な差別があるかわかりませんが、少なくともルックス自体がかなり異なる者たちが、狭いバーで酒を飲んだり、交易をすることが当たり前になっている。

種族間でゆるやかな棲み分けはできているようだけど、権力機構からの管理的なゾーニングをなされているわけではないらしい。

お金がない家に生まれた子供はずっと階層が固定化される、ということもあんまりなさそうだし、ある程度の才能と、船があれば、他の惑星にも行けるっぽい。一旗あげようと思ったらまだ可能性がある

つまり、おおらかです。

これは、ひねくれた子供である僕が好きだったSFとは違います。

僕はもっと殺伐として暗い、死にたくなるような近未来SFが好きでした。そんな世界だからこそ、戦い、逃げる価値があると思っていました。(もちろん、作品世界内だけのことですが)。でも今年、2015年の最後にやってきた 『スター・ウォーズ』最新作、それを観て、僕はホッとしてしまったんです。

なぜでしょうか。今の社会が暗いから、とは言いたくはありません。ただ、子供の時よりも今の方が、僕は未来に対して、暗い展望を抱いています。また戦争とか起きない?大丈夫?と勝手に心配したりしています。そのことと、ホッとしたことは無関係ではないようです。

スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に出てくる新キャラクターたち(女性も、男性もとっても魅力的でした!)、彼ら、彼女らのように活躍できる人は実際にはどれくらいいるんでしょうか。

恐ろしい暗黒的なデス・スターはいるけれど、おおらかな世界だからこそ、あのフレッシュマンな男女は活躍できたはず。僕らのいる世界も、少なくとも、あの男女のようなヒーローが生まれる土壌(それは多様性寛容性と切っても切り離せないと思いますが)、そういうもの残された世界であって欲しいなと思います。

というわけで、社会が変わったからノレたのか、それとも、僕が歳をとったからノレたのか、どちらかはわかりませんが、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒面白かった

これからの第8部、第9部にも大いに期待したいと思います。

何よりも、レイ可愛いし格好いいよ!ということで星は3つ!☆☆☆

今回の教訓

世相が暗くなると、明るくおおらかなSFが輝き出す。

2016年はどんな一年になるのでしょうか。少しでも明るい年になりますように!

image by: Aaron Lim / Shutterstock.com

 

『入江悠presents「僕らのモテるための映画聖典」』より一部抜粋

著者/入江悠
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