「子どもの教育費」 賢く貯めるコツはある?

2016.03.25
by Mocosuku
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日本銀行が2月16日から始めたマイナス金利政策の余波が、預貯金金利の低下に止まらず一時払い終身保険などの貯蓄性の高い保険商品へも波及しはじめました。

現時点においては、一部の貯蓄性の高い保険商品に止まっていますが、保険会社も資金の運用難から「予定利率を引き下げ(※1」、さらに他の保険商品へも拡大することが予想されます。

卒業までの大学4年間、費用はどれだけ必要?

貯蓄性の高い保険商品として将来の進学資金に備える「学資保険」や、学資保険代わりにもなる「低解約型終身保険」といった商品の予定利率引き下げも視野に入ってきたかもしれません。

かと言って予定利率の引き下げ前に「駆け込み契約を急ぐ!」というのは、あまり感心しませんね。

大学入学時には、私立大学文系で約115万円、理系で約150万円(※2)程度は必要になります。

その後、毎年の学費や生活費を考慮すると卒業までの4年間で概ね400万円~600万円程度は覚悟しておきましょう。

教育費、賢い貯め方とは?

この教育費のピークに供えるために事前準備は早いに越したことはありません。

例えば、子どもの誕生直後から大学入学までの17年間(入学金などは高3の時に必要になる)、毎月1万円を積み立てれば、元本ベースで207万円となります。

これが高校入学時に慌てて200万円を用意しようとすれば、毎月7万円の積立が必要になります。

200万円用意すれば、大丈夫という訳ではありませんが、少なくとも入学前の支払いには対応できるでしょう。

「預金」or「保険」 それぞれのメリットとデメリット

それでは以下より、教育費を預金と保険のどちらで貯蓄をするべきか、想定されるそれぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。

【預金で貯める】
<メリット>
・元本割れの懸念はない(ペイオフ対象を上回る預金額を除く)
・途中引き出しが比較的容易で、教育資金以外の目的にも使える
・毎月の積立額は任意で選べて、無理なく実行可能
・毎月の積立金は、途中で増減額可能
・毎月の積立に加えてボーナス時の追加積立も可能
・おまとめ機能を使えば、預入期間が長め(3年~5年)の定期預金に自動的に切り替わり、
 適用金利を若干上げる事も可能定期預金の更新により、金利上昇の場合に比較的有利

<デメリット>
・現在の超低金利下では、利息は見込めない途中引き出しが比較的容易なため、予定通り教育資金を貯められるとは限らない
・保障機能(死亡・高度障害)がないため、万が一の際は学資保険などに劣る
・保険と違い、特約を付加して保障機能の充実はできない
・積立方法など選択肢が多いため、煩わしさがあるかもしれない
・積立金の管理など積立途中の運用方針変更には、多少の手間と時間と判断が必要になる

【保険で貯める】
<メリット>
・保険契約者(=保護者)に万が一の時には、保険料の払込が免除され、契約の期日に満期保険金が支払われる。(契約内容により異なる)
・支払った保険料に近い金額が満期保険金として支払われるので、子どもの成長に合わせたお金の準備が可能。
・確実にお金が貯まる可能性大!お金がためにくい人に向いている
・契約時に満期保険金の額が確定する
・満期保険金に加えて期日前(例えば、15歳時など)に祝金が受取れるものもある。
・子どもが入院した時に給付金が受取れる特約などニーズに合わせて特約を付加することができる

<デメリット>
・子どもが入院した時に給付金が受取れる特約などニーズに合わせて特約を付加することができる
・払い込んだ保険料総額を下回る場合がある(=元本割れ)
・子ども保険は、契約中利率の見直しがなく、長期固定金利型の商品
・契約途中で保険料を変更することは難しい
・契約途中でお金が必要になり、途中解約すると元本割れの可能性大!(契約者貸付利用して一定額の範囲で借りることは可能)
・保障機能があるため、長期的には預金などと比べて利率が劣ってしまう可能性は否定できない
・将来の物価上昇で、必要資金が増大しても対応し難い
・子どもの年齢により、学資保険には(追加)加入できない

このほかのジュニアNISA口座で「投資信託の積立」という方法も考えられますが、元本保証ではないため、「上がり」、「下がり」を伴います。

ジュニアNISAを活用するとしても毎月の積立資金の内2割程度に止めておいた方が無難でしょう。

キーワードは「無理をしない!」

子どもの進学資金を賢くためる方法は、現状のマイナス金利の状況下においてはお金を「増やす」ことよりも、確実に「残しておく」ということに徹したほうが、将来の進学資金の準備が実現する可能性が高いといえるでしょう。

キーワードは「無理をしない!」だと思います。

※ 1. 予定利率の引き下げは、将来受け取る保険金あるいは解約返戻金の減額、あるいは払込保険料が増額になる。読売新聞:2/24配信ニュースより

※ 2.  文科省:平成26年度私立大学入学者に関わる初年度学生納付金平均額の調査結果より

 

<執筆者プロフィール>

石村 衛(いしむら・まもる)
FP事務所:ライフパートナーオフィス代表ファイナンシャルプランニング1級技能士(CFP)東洋大学卒業。メーカー勤務の後、FP事務所:ライフパートナーオフィスを横浜市戸塚区に開設。地域に根ざしたFP活動を志向し、住宅ローン、不動産・証券投資、保険、貯蓄・など一般家庭のお金にまつわる様々なアドバイスを行っている。 お金に係わる出前授業を小・中・高校で実施。また、高等学校の保護者会などで進学費用や奨学金・教育ローンの講演多数。東京都金融広報委員会 金融広報アドバイザーとして活動中。

 

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記事提供:Mocosuku

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