反撃のマクドナルド。「裏メニュー」戦略に隠されたヒットの法則

 

復活の兆しが如実に現れているマクドナルドの財務諸表

それでは続いて、実際に具体的な数字でマクドナルドの復活を検証していくことにしましょう。

まずは既存店の月次の売り上げ状況から見ていくことにしましょう。前年は異物混入事件で急速に顧客の足が遠のいたという特殊事情があるものの、今年に入って全店の前年同月比の売上高は1月35.0%、2月29.4%、3月18.3%、4月19.1%、5月21.3%と毎月大幅な増加を記録しています。

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この回復基調は決算書にも如実に表れ、5月に発表された2016年12月期第1四半期の決算状況では売上高が前年同期比27.7%増の522億円、営業利益が100億円の赤字から1.5億円の黒字へ。また経常利益は111億円の大幅な赤字から1.3億円の赤字に大きな改善が見られます。また、経常段階で赤字に転落した原因を分析しても不採算店舗の撤退によるものであり、いわば将来の黒字化のための赤字であり、どちらかといえば前向きな赤字ということができるでしょう。

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また、財務体質においても、一定の改善が見受けられます。現金残高が前年同期比50億弱減少していますが、短期借入金50億円を返済しており、安全性を示す流動比率は83.2%から101.2%へ大幅に上昇しています。この流動比率が100%を割り込むということは短期的な負債を短期的な資産で返済できないということであり、安全性に著しい問題が発生するということにつながりますが、マクドナルドはその危機的な状況をようやく脱したということになります。

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加えて、長期借入金を前年同期の181億円から295億円へ114億円上積みし、長期の安定的な資金調達も行っています。

マクドナルドの経営はまだまだ予断を許しませんが、このように直近の財務諸表を分析する限りは復活に向けて着実に歩みを進めているといえるでしょう。果たして、今回の裏メニューの投入で、2016年12月期の第2四半期は最終黒字を達成できるのか? 今後のマクドナルドの発表に注目したいと思います。

image by: 日本マクドナルド公式ウェブサイト

 

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