世界5位の実力。ビジネスホテル「ドーミーイン」は何が違うのか?

 

まとめ(戦略ショートストーリー)

お手ごろな価格と、快適な時間を両立したい人をターゲットに「寮運営で培った気配りの文化」に支えられた「リフレッシュ&くつろげる」という強みで差別化しています。

「充実した食事」や「リフレッシュできる風呂」、「熱いおしぼり」、「夜鳴きそば」など自宅のようにくつろぐためのちょっとした気配りにより顧客の支持を得ています。

分析のポイント

「企業文化に支えられた強み」

多くのビジネスホテルがスタッフの配置を減らすといった接客を省略することで、効率化を図っています。ホテルにおいては、人件費の占める割合が大きいため、価格競争になると、利益を確保するために業務を効率化して、人をいかにして減らすかを考えるのは当たり前ともいえます。

そんな中で、ドーミーインは手作りにこだわった朝食やおしぼりの提供、夜鳴そばの提供など手間をかけてでも、顧客にくつろぎや癒しを提供しています。ドーミーインの強みとなっている、こういったちょっとした気配りのサービスを支えているのが企業文化です。

ドーミーインを運営している共立メンテナンスは、もともと学生寮や社員寮を運営している会社で、現在も寮の運営が経営の一つの柱となっています。学生寮では、館長や寮母が保護者のかわりになるわけですから、館長や寮母は学生一人ひとりの日常生活をそばで見守っています。ですので、寮運営において、学生が自宅と同じように過ごせるようにするための気配りは欠かせない要素のひとつです。学生寮の運営で培った一人ひとりへの気配りの文化が、ドーミーインにおいても、根付いているようです。だからこそ、

  • お客様の「あったらいいな」を日々研究・導入
  • 「わが家で過ごすようなくつろぎを提供する」

といったことに、手間をかけているわけです。つまり、効率化よりも優先すべきことが明確であるということです。これは戦略がしっかりとスタッフの行動にまで落とし込まれているということでもあります。戦略は現場に理解され、実行されなければ、絵に描いた餅になって しまいますから、これは、非常に重要なポイントです。

また、企業文化に支えられた強みは簡単には真似できません。他社の企業文化を取り入れるということは、非常に難しく、M&A(企業の合併買収)などがうまくいかない要因の一つにもなっています。恐らくドーミーインの独特の企業文化を他社が取り入れることも難しいでしょうから、強みを真似することも簡単ではないでしょう。

今後、ドーミーインが企業文化を維持し、どのように発展させていくのか注目していきたいです。

 

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