三角大福中にYKK。「派閥政治」全盛の懐かしき昭和を振り返る

 

同時期に政治改革も

もう一つの要因としては「政治改革」。「中選挙区制」から「小選挙区比例代表並立制」に変化し、派閥に入るトクが失われた。このことは非常に大きい。これまでは派閥が推して、中選挙区には複数候補がいたので押し込めたが、小選挙区になると1人なので党が力を持ち、幹事長か総理が力を握る。このことによって幹事長や総理に対してモノが言えなくなるという状況になった。

私は1、2年生議員と一月に1回程度議論をするが、派閥に入らないという人も徐々に増えてきた。政党助成金が出来カネの威力が消えた。政党助成金は党におカネが入り、党が力を持つようになったということも非常に大きな要因であると思う。

そういう意味でいうと、派閥の存在意義が無くなってきた。かつては、派閥の存在意義はあり、政策、教育機関として人を育てるということがあった。今は総理や幹事長に気に入られると育てられるというようになり、派閥とは関係なくなってきた。今や派閥は仲良し倶楽部に毛が生えた程度で、意味がないと感じる人が多くなってきている。そして、それが安倍一強体制を作っているともいえる。

政策論争から政治の活性化を

現在の一強体制は、強いようでいて、その反面単一の弱さを感じるところもある。それに対抗しているのが、今の小池百合子氏かもしれない。小池氏は都民ファースト、コンパクトなオリンピック、無駄遣いしないなどの自分の原則を決め、そこでガンガン押していき世論を味方にしている。こうなるとかつての派閥の長もなかなかモノをいえなくなるという側面もある。

考えてみると小池氏は派閥を渡り歩き派閥の権化のような人だが、その人が脱派閥になった。渡り歩いたが、自分を忘れなかったというところが大きかったのだろう。皮肉な結果ではあるが、世論を味方に自分の意見を持つということが、これからは大事なのかなというように思う。

民進党ももう少しまとまっていないと力になりにくく、下手すると無くなる可能性もある。一強の自民党にも問題がある。政治をもう少し面白くしてほしいと思う。その為には、政策論争をやり、少し派手に議論をしてほしいとも思う。

※ブログに『YKK秘録(講談社)』の出版パーティーの画像とその様子が書かれた加藤鮎子氏サイトのブログ「『ykk秘録』出版記念会にて祝辞をのべました」のリンクを掲載しております。ご興味をお持ちの方は合わせて参照ください。

時代を読む

(TBSラジオ「日本全国8時です」10月4日音源の要約です)

 

ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」
ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。
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