出典は、最近読んだこの本です。世界的ソムリエ・田崎真也氏の著作。味や魅力を言葉に表す表現力を鍛えるためのヒントが満載。
『言葉にして伝える技術』
(田崎真也 著/祥伝社)
「巷によくある表現」をつい使ってしまうと、本物の表現力が埋没してしまいます。たとえば、「こだわりの材料」とか「厳選した食材」などという表現がそうで、こだわるのはプロとして当たり前、厳選するのはプロとして当然のことです。
本当は、その人なりの強いこだわり過程や卓越した厳選能力があるはずなのに、それを「こだわりの」「厳選した」と言ったために、その辺の「こだわりの」「厳選した」と言い放つ一般レベルになってしまうのです。
「隠れ家的な店」なんていうのもそうで、隠れ家だから何なのか、隠れ家の雰囲気をどうしたいのかが分からないのに、「隠れ家的、って言ったらなんか好かれそう」という感覚で言ってしまっているケースがよくあります。
自分たちのこだわりや考え方を表現するのに、「巷によくある表現」に寄せてしまうことで、巷によくある商品、巷によくある店になってしまいます。
「表現力」というのは、いかに目立つかとか、いかに良いかを表すのではなく、「いかに本当の自分たちを伝えるか」ということです。表現力で売上を伸ばしたいと考えるのではなく、表現力で正しく伝える、と考えるべきです。
本当に良い商品、本当に良い店であれば、正しい「表現力」で伝えれば、それでいいのです。「表現力」で良い商品っぽく、良い店っぽく表わそう、などと考えてしまうから、「巷によくある表現」を研究して使ってしまいます。
正しい「表現力」とは、どのように身につけるのか。
たとえばソムリエやアナウンサーのような、正しい表現力を必要とするプロたちにそのヒントを求めるのもいいかもしれません。
【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)
- 会社やお店にとって「表現力」とは、何のために必要なものなのか。自分の考えをノートにまとめる。
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