「3.11は復興」という誤解。現役教師が見た、南相馬の過酷な現状

 

お昼のお弁当は、主催者の方が現地のお弁当屋さんに注文してくれている。主催者の方とお弁当屋さんは毎度の注文で顔見知りであり、作業現場まで届けてくださる。お弁当屋さんも避難して戻ってきた被災者の一人である。お弁当を食べる前に、この方のお話をいただく。津波はとても波には見えず、巨大な真っ黒い壁が迫ってくる感じだったという。津波は土などを巻き上げて進むため、真っ黒だという。実際の被災者の方の話は真実味がある

お話の後、地べたに円座して有難くお弁当をいただく。全国チェーン店のお弁当のはずが、特別に美味しく感じる(ちなみに、このお弁当は、「日本を美しくする会」相談役の鍵山秀三郎様からのご提供である)。

もう一品、「からし菜」をいただく。こちらは、依頼主の方が、我々の作業中に庭から摘んで、茹でて作ってくださったものである。これも大変美味である。ちょっとした心遣いが嬉しい。

お昼の後は作業再開。黙々と進める。きれいに切り分けられ、累々と積み上がった竹は、壮観である。

一人で、一回でできる量は、本当に少ない。しかし、それが積み重なり、何十人、何百人、何千人、何万人となれば、話は別である。リレーのように長く長く続けていけば話は別である

主催者の方は、埼玉県の高校の先生である。震災の後、何かしたくてとにかく現地に向かったという。そして、被災地の被害を目の当たりにし、「これは仲間がいないとどうにもならない」と思ったという。その後、仲間を集めて足を運ぶこと数十回。教え子も参加し、高校生だけでも延べ数百人は参加したという。その中の三人が今回も参加していた。「先生に出会って人生が変わった」という。教育の究極は感化・影響。まさに教育者である。

現地でも学べたが、参加者からも学べた。現地でどんどん動く他の参加者の背を見て、自分の力のなさも痛感した。しかし「ハチドリのひとしずく」のように、小さくてもやれることをやるしかない

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