シリアを叩き、そして北朝鮮へ。新・米国の正義は国際法的に違法か?

 

議論がわかれる、「先制的自衛権」

自衛権には、もう一つ「先制的自衛権」というのがあります。たとえば、北朝鮮には

  • 核兵器がある
  • ミサイルに搭載できるほど小型化できているとしている
  • アメリカに到達する大陸間弾道ミサイルも、まもなく完成するとしている
  • 北朝鮮は、日本、アメリカ、韓国を脅迫、挑発しつづけている

こういう現状で、「北朝鮮が、実際に日米韓を攻撃する前に日米韓が北朝鮮を攻撃する」。これを、「先制的自衛権」といいます。「先制的自衛権」に関しては、「合法」なのか「違法」なのか、「議論がつづいている状態なのです。

もし、米軍が今、北朝鮮を攻めたらそれは「合法」でしょうか? 「違法」でしょうか? おそらく、中国、ロシアは、「違法だ!」と主張し、日本、アメリカ、韓国は、「合法だ!」と主張するでしょう。いずれにしても、「議論がわかれている」ので、「完全に違法ということもできません

国際法上「合法」な戦争2~国連安保理の承認

もう一つ「合法的」な戦争は、「国連安保理が承認した場合」です。たとえば、1991年の「湾岸戦争」。これは、イラクが隣国クウェートを侵略したことで起こった。国連安保理が一体化した、珍しいケースです。比較的最近の例では2011年のリビア攻撃。この時、中国、ロシアは、「拒否権」を行使せず、「棄権」しました。

「国連安保理」といいますが、実権を握っている国は、「拒否権」をもつ「常任理事国」。すなわち、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国です。そして、「米英仏」と「中ロ」の利害は、ほとんどいつも一致しない。それで、「国連安保理は機能不全だ!」という批判が、ずっとあります。とはいえ、それが現在の「国際法」ですから、仕方ありません。

ちなみにシリアについては、ロシア、中国が、アサド現政権を守る立場。アメリカ、イギリス、フランス、が反アサド政権の立場。米英仏がアサド関連で何か提案すると中ロが拒否権を行使する。そういう構図になっています。

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