習近平のことが好きだ。トランプが口にした衝撃告白の「真意」

 

トランプ、習近平との会談を語る

ここから、最近の首脳会談に話が移ります。どうだったのでしょうか?

トランプ氏がインタビューの中で詳細に語ったところによると、習氏とは先週、フロリダ州の別荘「マール・ア・ラーゴ」で長時間ともに過ごし、随行者を同席させずに対話した時間も長かったという。米中首脳会談の最初の協議は「10分から15分の予定だったが、3時間に延びた」。さらに「2日目に10分間の予定で組んでいた会談は2時間に延びた。われわれは本当に相性がいい」とも述べた。
(同上)

もちろん、「話すネタがあった」というのも大事でしょう。シリア問題、北朝鮮問題。特に北朝問題は、中国が金正恩体制への支援を続けていることが根本的大問題。だから、「話が盛り上がる」のは、わかる。

しかし、「おまえが金正恩を甘やかしているせいで、あの小僧はもうすぐ、アメリカ本土を核攻撃できるようになる! なんとかしないと、中国もタダではすまないぞ!」と脅迫することもできたはずです。

しかし、会談後の感想は、「われわれは本当に相性がいい」。これは、本当にそうなのでしょう。トランプはこの辺、正直です。メルケルさんに対して、「相性がいい」とは言いません。

なぜトランプは、習近平を好きになったのか?

シリア攻撃と習近平の話になります。

習氏はトランプ氏によるシリア攻撃の決断を世界で最初に知った外国の首脳だ。シリア攻撃では59発の巡航ミサイル「トマホーク」が発射された。トランプ氏は6日夜に行われた夕食会でデザートを食べながら習氏に伝えた。
(同上)

このニュースを聞いた時、ロシアは、「アサドは、化学兵器を使っていない! アメリカは、イラクのときと同じで、ウソをついている!」と非常にネガティブで激しい反応をしました。

一方、習近平は、「化学兵器を使うのは、容認できない。アメリカがシリアを攻撃したのは、『理解できる』」と言った。そして、国連安保理は4月12日、「シリア非難決議」の採決をしました。ロシアは「拒否権を行使し、この決議を葬った。

問題は、中国の動きです。中国は普通、ロシアと共に「拒否権」を行使する。ところが、今回は「棄権」しました。つまり、中国は、ロシアを裏切った。ロシアのテレビでは、報道されませんでしたが、ショックは大きいだろうと思います。

選挙期間中の厳しい発言から習氏とのこうした関係が生まれることを想像できたかと尋ねると、簡潔に「ノー」と答えた。そしてこう付け加えた。「彼はとても聡明だ。それが彼の長所だ。順応性と呼んでもいい」
(同上)

習近平には順応性があるそうです。まさにその通りでしょう。

習近平は、「中国の夢」を標榜する「ナショナリスト」として登場しました。それで、ダボス会議に集まるような国際金融資本に嫌われ、2015、2016年、中国経済はボロボロになってしまった。

しかし、「ナショナリスト」トランプがアメリカ大統領になると、国際金融資本は、彼を敵視し始めた。習は、その機会をとらえ、1月のダボス会議で、「グローバリズム、絶対支持!」を宣言しました。「ナショナリスト」だったのが、一夜にしてグローバリストに変貌した。これも「順応性」ですね。

以後、欧米メディアから、「中国経済のハードランディングは不可避」といった論調は消えました。むしろ、「中国経済、底打ち」といった記事ばかりになってきた。

そして今回の件。習は、中国では「皇帝」です。しかし、トランプに会った時は、「皇帝らしい振る舞いを封印しました。微笑みを絶やさず、トランプの話に耳を傾け、シリア攻撃のニュースを聞いたときも、「アメリカの行動は理解できる」と賛意すら示した。これは、何でしょう?

中国人のいわゆる「陰陽論」なのでしょう。つまり、トランプみたいな強いの人と会うとき、自分自身は「にならなければならない。考えてみると、メラニア夫人、娘のイヴァンカさん。安倍総理、イギリスのメイ首相。「になれる人がトランプのお気に入りですね。習近平も見事に演じた」のでしょう。これを、「順応性がある」と言います。

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