早めに相談される方は良いのですが、なかには、心身に重い症状が出るまで気が付かないケースもあります。家では話はするものの、学校ではいっさい話ができず、だまってしまう「場面緘黙(ばめんかんもく)」的な子どももいます。また、クラスのだれとも話ができなくなり、「授業を受けるのが怖い、人の目が怖い」と保健室に行くことを訴える子もいます。ランチをクラスメートたちと一緒に食べることができず、支援員さんと個室で食べる子、精神不安定でクリニックにかかる子もいます。
人の輪に入れない子の中にも、頑張る子どもたちがいます。「勉強がしたい」、とわざわざ廊下に机を置いて授業を受けている子もいます。がんばって学校に通うのは、「親に心配かけたくないから」というのが大きな理由です。中には、「家に居場所がないから学校に来る」という子どもも居ます。このような子どもたちの回復のためには、ある程度の時間と専門家の援助が必要になります。それは、「薬を飲んだらすべて解決」ということではありません。
子どもを取り巻く環境を変えることが出来ないのであれば、これから未来を生きていくために、学校においても、心の教育やストレス・マネジメントを考えてあげる必要があります。その上に、進路指導やキャリアガイダンスがあるのではないでしょうか。
誤解のないように条件付けしますが、ここまで述べてきたことは、あくまで通常生活の中におけるストレス・マネジメントであって、今いじめを受けていて苦しんでいる子どもたちのためには、「いじめを解決してあげる」ことが大前提です。いじめ事案を解決することなく、「その子自身の心の持ちようだから」、というのは、責任からの逃避と言えますので、ご注意いただきたいと思います。
スクールソーシャルワーカー 村崎京子
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