これは実は科学の進歩と歩調を合わせていて、科学が進歩すればするほど、科目は細分化される方向に行くんです。エントロピーは増大すると言ってしまえばその通りなんですよね。
となると、ビジネスのネタも、広く浅く大衆に受けるものを考えるという方向から、限りなく狭く、そしてひたすら深く掘り下げることに価値が移転してくるんです。もちろんそうなるとマーケットサイズは小さくなりますよ。でもその分、単価がグッと上がるんです。その狭い世界で濃い人間関係が構築されて、一種のコミュニティーになって、所属員以外の人を排除しながら、自分たちが気分良くなる世界を維持する、みたいな流れになるんだろうと思っています。
そういう時代に生き残るためには、ありきたりのみんながフツーに出来ることを種類を増やすのではなく、自分が徹底的にハマった何かを深く深く掘り下げることの方が良いと思うんですよね。周りをザクッと見渡してみて、「こんなバカなことをやってるのはオレだけじゃないの?」と言えるくらいがちょうど良いんだと思います。
20世紀って、「みんなと同じ」が価値を持った時代だったんですよ。みんなが車を持てば我が家も、隣がカラーテレビを買ったらウチも買わなきゃ、みんなが大学に行くから自分もと、マジョリティーが選択するものを無批判的に取り入れるだけで、そんな大衆と同じレベルの生活は出来た、それが20世紀という時代だったんです。
ところが21世紀に入って、格差やジニ係数が拡大するようになると、大衆的という存在の意義がドンドン薄れて来たんですね。この世界では、「人とは違う」ことに価値がおかれて、どの程度他の人と異なるのかの競争が行われるんだと思います。
ここまで書いた事は、まだ予想のレベルを出ていません。でも私はそういう時代に備えているのもまた事実なんですよね。
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