【書評】リベラルを自称するメンド臭い人たちが妙に鼻につく理由

 

彼らは、あくまで憲法九条を「一言一句変えてはいけない」という歪な絶対的平和主義者たちである。ところが、リベラル大御所の井上達夫東大教授は「憲法九条削除論」で、「九条解釈としては、文理の制約上、絶対平和主義を唱えているとしかいいようがない」。だから「修正主義的護憲派も絶対主義的護憲派も論理性がなく、嘘や欺瞞を抱え込まざるを得ない」と主張する。

さらに、リベラル派が安倍政権を批判しながら、自分たちはいまいる状態に安住しているため、安倍政権を批判する資格はないという。本の帯には「偽善と欺瞞のエリート主義のリベラルは、どうぞ嫌いになってください! 井上達夫」とある。日本のリベラル派は「知の荒廃」で、いまやもう終わっている。

国民は「戦争を起こさないようにするために具体的な議論をしろ」と言っているのだ。戦争を避けるために安全保障を考えるのは世界の常識である。有事における議論を封じ込めれば平和になる、という論理はまったく根拠がない。何も反省せずに責任もとらない人たちを支える思想がリベラルなのだ。

weblio英和辞典によればliberalとは、「気前のよい、大まかな、(…を)惜しまないで、けちけちしないで、たくさんの、豊富な、寛大な、度量の大きい、開放的な、偏見のない」と並んでいるが、現在の日本のリベラルにはこれらの解釈のたったひとつも持ち合わせていないところがお笑いである。ところでこの本も、いささか文脈が整わず文法もヘンで、残念な出来である。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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