バブル崩壊も気づかず。日本人が持つべき歴史の転換点を見抜く眼

 

世界の転換点を見抜く重要な3つの目

大動乱時代の今、私は時代を見るのに3つの目が非常に重要だと思う。

  • 虫の目」:虫のように這いつくばって歩き回る取材によってデータを集める
    私は新聞記者時代から、この方法で情報を集めてきた。
  • 鳥の目」:虫の目を持ってデータを集め、それを全体から俯瞰してとらえる

この二つはよく言われる。もう一つ私が非常に重要だと考えるのは、

  • 歴史の目」:歴史は何度も繰り返すので、歴史の目も必要。歴史を常に見ておくべきだ。

この三つの目(虫の目、鳥の目、歴史の目)を持っていると、世界の転換点を見抜く力がついてくるのではないかと思う。

この「歴史的視点が今の時代には少し欠けている気がする。トランプ政権や日本の政治などをみていてもそうだが、皆、目の前のことに一生懸命になっているように思える。企業は昨今、慌ててM&Aなどに走っているが、慣れていないので失敗も多い。消費者と時代は何を欲しているのかを企業は本気で考えるべきだ。

バブル時代にため込んだ内部留保に甘えている状況である。AI、ロボット、グローバル化、IT時代に人が果たす役割、能力は何かを見つけ出さないと日本はますます遅れてしまうだろう。

●『1990年・歴史の大転換が始まる─日本と世界、変動の読み方』PHP研究所

当時の世界情勢を分析し、予測した本。本放送でご紹介した内容も一部含まれております。ご興味をお持ちの方は合わせてお読みいただけると幸いです。

内容:21世紀まであと10年。米ソデタントにより、戦後のヤルタ体制は崩れ、米ソ両超大国の支配構造も多極化(五極化)の時代に突入、さらに軍事、政治の対立の時代から経済の立て直しと競争、協調の時代に入ったのが1990年代といえる。そして、その序曲としてソ連・東欧と国内の政局で激動が始まり、まさに歴史の大転換が始まりつつあると、みることができるのだ。

21世紀を前にした1989年に、本書では以上のような国際情勢、国内政局の動向を軸に、世界経済と日本経済の行方、今後の企業経営にあたって考えるべきトレンドなども含めて、私なりの分析と予測を記したものである。

※ ブログには89年末に旧ソ連、東欧を2~3週間かけ取材した際の画像が合わせて掲載されています。ご興味をお持ちの方は以下を参照ください。

時代を読む

(TBSラジオ「日本全国8時です」3月28日音源の要約です)

 

嶌信彦この著者の記事一覧

ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」 』

【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け