仕事中に職場でケンカ。ケガした場合、労災は認められるのか?

 

労災と認められました。その理由は次の通りです。

  • 暴行が、部下に対する仕事上の指示・注意をしたことに関連して行われている
  • 仕事と無関係な個人的な恨みなどによって暴行されたわけではない
  • (ケガをした社員が)挑発的、侮辱的な行為をしたことによって暴行をうけたわけではない

つまり、「仕事に関連して暴力を受けた」と認められたわけです。

いかがでしょうか? 「仕事に関連して」と認められたということは当然に会社の責任問題にもなるということです。

ここで実務的に注意すべき点が2つあります。まず1つ目が、もし万が一、会社で喧嘩があったらそのままにしておかないことです。「喧嘩は社員同士の個人的な問題」などと考えてそのままにしておくと、場合によっては被害者側の社員から訴えられる可能性があります。詳細な状況を確認し、必要があれば会社からの謝罪や見舞金の支給なども検討すべきでしょう。

2つ目が就業規則にルールをしっかりと定め、それを社員にきっちりと周知徹底することです。みなさんの会社の就業規則には喧嘩や暴力をふるった場合の罰則が定められているでしょうか?そして、それは周知徹底されていますか? これらが欠けていると万が一の場合は、会社にも責任が発生してしまいます。

繰り返しますが、「喧嘩は社員同士の個人的な問題」では、すまされません。「会社の問題」として常に意識しておく必要があるのです。

ただし、仕事中の喧嘩がすべて労災と認められるかというとそうではありません。例えば、同じような建築現場での喧嘩に関する裁判で次のようなものもあります。

作業中に、社員AとBがちょっとしたことで口論になった

AがさらにBを挑発するようなことを言ったため、Bがヒートアップ

Aは顔や頭を殴られ、後日死亡

この裁判では労災とは認められませんでした。殴られた原因にあたる「挑発行為仕事と関連が無い」とされたためです。

image by: Shutterstock.com

特定社会保険労務士 小林一石この著者の記事一覧

【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理 』

【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

print
いま読まれてます

  • 仕事中に職場でケンカ。ケガした場合、労災は認められるのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け