外食チェーン店が「本当に美味しいもの」を提供しようとしない訳

 

美味しい物を食べると幸せを感じます。美しい物を食べるためには、真剣にお店を選びます。食事のガイドブック、旅行のガイドブック、インターネットのレストランガイドなど、美味しいお店を選ぶ方法はたくさん用意されています。コンビニ、本屋さんに行くと本当に多くの本が置かれています。

テレビで芸能人が「美味しい」と言うと、次の日には大行列が出来てしまいます。しかし、行列が出来ているお店に、半年後、一年後行ってみると、無くなっている場合があります。行列で何時間も並んでも、予約が取れなくて、半年まっても、そのお店に満足しなければ一度しかお店には行かないのです。一度食べて美味しければ、旅行をしたときに必ず寄ろう、旅行に行く人に「あのお店美味しいよ」と口コミで伝える物です。

美味しいお店を紹介する時は、本当に難しい物です。人によって好みも異なるし、美味しいと思う点も異なります。しかし、ある一定以上のお店であれば、万人が美味しいと思うはずです。一時間以上の行列をまって、並んでいるときには無口だった親子が、お好み焼きを一口食べたときに、「美味しいね。このお店」と話していると、会話を聞いている方も嬉しくなってしまいます。

お好み焼きは、小麦粉、キャベツ、卵などの簡単な食材で、焼くだけの簡単な物なんですが、家庭で作るよりも美味しい物を提供できるからこそプロであり、外食産業であると思います。黒豚を使用した、鹿児島産の肉を使用したと言うことよりも、焼き方が旨くて、どうしても家では同じように出来ない、と言うのが本来の姿だと思います。

刺身を切る包丁を毎日研ぎ澄ます事、ご飯を美味しく研ぎ、炊くこと、米粒をつぶさないように酢飯を作ること等の基本が家庭では作ることの出来ない美味しさにつながるはずだと思います。

チェーンの回転寿司、ファミレスなどのお店は、美味しいものを提供し、お客さんの喜ぶ顔がみたいと思わず、売り上げ利益だけを見ているとしか思えません。利益のためには、経験のある職人よりも、給与の安いバイトを雇用してしまいます。バイトで働いても、将来が見えないため、外食で働く方が少なくなってしまうと言う悪循環に入っているとしか思えません。働いている方が、笑顔で生き生きしていなければ、食べる方も決して美味しいとは思わないはずです。

お店の設計も考え直す必要があると思っています。お客様がくつろげる環境よりも、回転率を考えているようにしか見えないお店では、お客様は、二度と行きたくないものです。

インターネットの時代になり、誰もが簡単にブログ等の文章を公開できるようになりました。しかし、編集の方と文章の内容を詰めながら書く本は、みなさんによりよい情報を伝えることが出来ると思います。様々な方の目に触れることでより素敵な文章に仕上がる事を改めて知ることができました。あなたの大切な方のために、造る食事の食材を選ぶとき、大切な方と食べるお店を選ぶ時の参考になることを願っています。

食品安全教育研究所 代表 河岸宏和

image by: Shutterstock.com

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【著者】 河岸宏和(食品安全教育研究所 代表) 【発行周期】 ほぼ 週末刊

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