「年金支給、75歳から」説にある勘違い。むしろ受給者は得に

 

しかし、この繰下げ制度を利用してる人はかなり少数です。全体の2%もいかないくらい。やはり早めに年金を貰いたいのでしょう。それに年金受給を遅らせてる間に障害年金や遺族年金を貰えるようになったら、繰下げはその時点で出来なくなります。障害基礎年金のみの人は例外的に老齢厚生年金の繰下げはできる。それに長生きに自信があるとか、70歳まで貯蓄があるとか労働してるような人じゃないとなかなか厳しいですからね。70歳までの今の制度でもほとんど利用者が居ないのに、75歳まで引き延ばせるようにしてもそこまで年金受給を遅らせられる人が一体どれほどいるのか…。

それにしても、この年金の繰下げをすると本来の65歳から貰い始めた人よりも年金の受給を遅らせる年金の繰下げをやった人の年金総額はいつ逆転するのか? って気なるところでもあります。これは11年10ヶ月が損益分岐点となり、それ以降は繰下げした人が年金受給総額が上回り続けます。

上の65歳から年間年金総額170万円の人が70歳から貰い始めた場合は70歳から42%増額の2,414,000円(月額201,166円)になりますが、11年10ヶ月後の81歳10ヶ月時点で年金受給総額が28,565,660円となります。81歳11ヶ月分だと、28,766,826円。

逆に普通に65歳から170万円(月額141,666円)受給の人なら81歳10ヶ月時点の年金受給総額は28,616,660円となります。81歳11ヶ月分だと28,758,326円となり、70歳から繰下げした人の受給総額に負けてしまう。繰下げした人は11年10ヶ月が損益分岐点でそれ以降貰えば、年金総額は65歳から貰う人を逆転します。だから、65歳から貰う人より総額は多めに貰いたいなら82歳くらいまで生きられるかどうかです。

ちなみに、どこから繰下げしても11年10ヶ月が損益分岐点。例えば67歳5ヶ月で繰下げしたら、29ヶ月×0.7%=20.3%の増額ですが、79歳3ヶ月で損益分岐点となりそれ以降は繰下げした人が得になります。

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