「年金支給、75歳から」説にある勘違い。むしろ受給者は得に

 

さて、今回の75歳年金受給選択案ってもので65歳から貰った人と比べてどこで損益分岐点を迎えるか。これも11年10ヶ月です。つまり、75歳から貰い始めた人は86歳10ヶ月より長生きしないと65歳から貰う人より総額は下回るって事です。まあでも65歳(170万円)から10年間年金受給を遅らせて、75歳から84%増えた3,128,000円を貰うとすればかなり生活のゆとりが増すといえばそうですね。

ただ、今の平均寿命が男性81歳で、女性は87歳の今はあんまり現実的ではないですね^^;。特に男性は…。今の時代は90歳くらいまで生きる人も珍しくはなくなりましたけど、ただ長生きするという事と、健康でイキイキと過ごすのとではまた違いますからね…。健康寿命に関しては平均寿命のマイナス10歳くらいとなっています。だから今だったら70歳代前半くらいまでがなんとか健康で活動的に暮らせる平均年齢。平均寿命よりもこの健康寿命を延ばす事の方が大事と思っています。

ところで、75歳まで繰下げを引き上げるとなるとまた別の問題が出てきます。それは、年金繰下げ中に死亡した場合です。今は年金貰うのを忘れたり、遅らせてたりしても年金の時効は5年だから過去5年分の年金まで遡って年金を一時金として貰えるんですよ。だから例えば年金の繰下げ中でちょうど70歳で死亡したら、繰下げしないで65歳から本来の年金(上の例なら年間170万円×5年分=850万円)を遺族が未支給年金として受け取る形になります。

しかし、75歳に仮に繰下げを引き上げてしまうと、例えば年金の繰下げ中で73歳で死亡したら68歳分までしか年金が遡って貰えず65歳から67歳までの3年分の年金が時効で失われてしまう。この辺もなんとかする必要が出てきます。

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