政党別得票数、得票率から、「野党共闘がなっていれば自民党を倒せた」という言説も拡散されています。
これのネタ元は自民党の小泉進次郎氏。数字合わせはともかく、選挙特番で密着取材を受けた小泉氏が繰り返していた、自民党への苦言であり、野党へのエールであり、タラレバを重ねたリップサービスといってもよいでしょう。
これをとあるジャーナリストが「ある自民党関係者もこういっていた」と、野党共闘を惜しんでみましたが、それを見た妻が言います。
「進次郎が言ってた話じゃん」
丹念に既存メディアを追っていると、ジャーナリストや政界通と誇ってテレビに出ている有識者の多くが、「テレビ」や「週刊誌」をネタ元にしていることがわかります。これなど最たる例です。
確かに利権民主党…あれ、もとい立憲ミンス党…コホン、立憲民主党と希望の党、さらに無所属と日本共産党の得票数を単純に合算すれば、自民党を倒せたかも知れませんが、机上の空論に過ぎないと断じます。
その理由は私が所属する東京12区に明らかです。
元アナウンサーで自民党所属だった八代英太氏は、小選挙区制の始まりとともに東京12区から出馬し当選します。ところが自公連立がはじまると、公明党の次期党首とみなされた太田昭宏氏が出馬し、両者の思惑が一致し、選挙毎に譲り合う「コスタリカ方式」が採用されました。ところが八代氏は「郵政民営化反対」で党を追い出され、以後、公明党の選挙区になります。
自民党支持者、アンチ創価学会票はいつも宙ぶらりんです。自民党本部が、都連が、足立区総支部が号令をかけたからと、内心の自由を侵すことはできず、選挙のたびに「白票」が多いことでも有名であるのが東京12区です。
政権交代選挙の時、小沢一郎氏の愛弟子、青木愛参議院議員が、太田昭宏氏を破ったのもこの選挙区で、前回選挙で日本共産党の池内沙織氏を、ゾンビとして国会に送り込んでしまった背景には、こうした選挙民の複雑な思いがあります。ちなみに今回選挙で池内氏は、ゾンビにもなれませんでした。
つまり、それぞれの野党が、それぞれの野望のために野合を実現したとき、必ずしも「足し算」で票が上積みさせることはないということです。
北海道など「地方」では確かに成功例も出ていますが、全国的な展開になれば、黙って見過ごす自民党ではありません。
そのとき「大義」「政策」、さらに「理念」が違う政党が手を組むことを自民党が人気者を揃えて批判したとき、それに野合連合もマスコミも答えることなどできはしません。反安倍だけで思考停止する政治評論家の伊藤惇夫氏あたりは「自民党だって」といつもの「お前だって理論」を持ち出すでしょうが、批判された手法をその後に繰り出す悪質性に彼はいつも気づきません。思考停止とは言論における死に至る怖い病です。
野党共闘で自民党打倒、とは、自民党がなにも反論をしない、できないという前提での妄想です。あるいは「自民党の反論なんか報道しないぜ」という宣言かもしれません。
日本共産党は自衛隊を違憲とし、天皇すら排することを目論みます。立憲民主党ならこれに賛同できるかもしれませんが、希望の党に最初に移った政治家の中には、これに明確に反対するものがいます。3秒考えるだけで、野党共闘は限られた地方で、ごにょごにょっとバレ無いようにヤルぶんには成功しても、全国規模では無理があると気づきます。
それでもマスコミが、盲目的に自民党を攻撃したとしても、日本人の識字率は高く、論理的に考える力をもっています。それが今回の「自民圧勝」の背景にあります。こうした現実を前にしても、いまだに「野党共闘」を口にする連中は、
「国民はバカ」
とでも思っているのでしょう。失礼な話ですが、これが今回の選挙のもう一つの総括です。
野党連合に希望を抱き、選挙結果を認めないかの発言は、
「国民はバカ」
という告白です。
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