恐らくこの店は「いらっしゃいませ」と揃えていうことを目的として、手をたたくことを合図にし、皆で「いらっしゃいませ」と言おうという仕組みになっているのであろう。
しかし、ここで考えなければならないことがある。そもそも「いらっしゃいませ」とは、何のために言うのかということ。揃えていうことが「いらっしゃいませ」の目的なのであろうか? 本来「いらっしゃいませ」をいう目的は、次の3つであると言われている。
- お客様に「感謝」の気持ちを伝えるため
→数あるお店の中から、自分の店を選んでいただいて「ありがとうございます」と気持ちを伝えるため - ご来店いただいたお客様を「不安」にさせないため(安心感を与えるため)
→お客様が来店した際に、スタッフから声がかからないと「不安」になるもの。せっかくご来店いただいたお客様に「不安感」を与えないようにするため。この目的を達成するためには、お客様に聞こえる声で「いらっしゃいませ」と発声することがポイントとなる。 - 他のスタッフへの「合図」のため
→お客様がご来店されると同時に、色々な仕事がスタートします。水やおしぼりの準備をしたり、アルコールを売るお店であればお通しの準備をしたり…。お客様が来店されることで様々な仕事がスタートする。お客様がスムーズに食事をすすめられるよう、準備を促すという意味あいもある。この3に関しても、店で働く他のスタッフに伝えることが必要だから、ある程度の声量で「いらっしゃいませ」と発声することが重要となる。
この3つの目的を果たすために、「いらっしゃいませ」と言っているわけで、声を「揃える」ことが目的ではないはずだ。