誰がテレビを殺したか? 娯楽の王様が、裸の王様になった根本原因

 

こんな状況に置かれている放送局がしていること・出来ることは、以下のようなものです。

  1. もっと面白いコンテンツを作って、人々を放送に呼び戻す努力をする
  2. 放送をまだ観てくれている顧客向きにコンテンツを特化する
  3. 同じ視聴時間からの広告収入を増やす(民法)
  4. 受信料が徴収できる対象を増やす(NHK)
  5. ネットに進出する

1.と2.は、コンテンツの力で視聴者を呼び戻す・引き止めるアプローチですが、そもそも「決まった時間に特定の番組を配信する」というコンテンツの配布の仕方そのものが、常時接続が当たり前の現代にはあまりにも時代遅れであり、どんなコンテンツを作ろうと、どこでも、好きな時間にコンテンツを楽しむことが出来る、オンデマンドメディアと同じ土俵で戦うことは出来ません

それと同じ理由で、3.と4.も延命措置でしかありません。民放の放送局が、質の悪いバラエティ番組だらけになってしまったのは、制作費を抑えて、広告収入をあげようという放送局の悪あがきの結果です。

NHKがワンセグ携帯を受信料の徴収の対象にしたのもの、そもそもNHKを観る人が減っているという根本的な問題に目を向けずに、今のビジネスモデルを1日でも長持ちさせようという悪あがきでしかありません。

そうなると、5番目の「ネットに進出するのが唯一の解決策のように思えますが、技術のことが分からない人ばかりの放送局がそんなことをしても、ほとんどの場合、うまく行きません。私から言わせれば、「ネットに進出するという発想そのものが筋が悪いのです。

インターネットは道具でしかないのです。放送と違って、場所や時間を選ばずにコンテンツを視聴者に届けることが出来る素晴らしい道具なのです。「ネットに進出する」「インターネットビジネスで収益を上げる」という発想は、道具と目的を根本的に取り違えており、そんな発想では、視聴者に価値を見出してもらえることは出来ないし、すでにネットの世界で成功している巨人達と戦うことなど決して出来ないのです。

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