100円が16340円に。なぜ年金保険料は60年でここまで上がったのか

 

さて、国民年金制度というのは昭和34年4月に制定され、昭和36年4月から今の毎月保険料を納める形のものが始まりました。国民年金保険料の徴収が始まった当初は、35歳未満は月々100円35歳以上は150円という金額から始まりました。35歳前後で保険料が違うのは、若い人と中高齢の人では年金への意識が違うだろうという事で年齢により区別した。

今の公的年金制度は支払ってる保険料を今現在の年金受給者に送るという賦課方式を取っています。なお、年金積立金や税金(今の基礎年金の半分だから約10兆円程の税金)も投入しながら約57兆円(平成29年に支払われた金額)の年金が支払われているため、修正積立方式ともいいます。

国民年金が始まった当初は、月々の保険料は100円とかそういうものでしたが今の公的年金制度のように賦課方式ではなく完全積立方式から始まりました。将来の自分の年金のために保険料を積み立て、その年金積立金を運用して運用益も増やしながらその保険料と運用益も将来の年金給付に充てるっていう。そのほうが公平だったから。ただ、国民の生活水準に変動があって、財政の均衡が保てるように5年ごとに年金の再計算を行うという事も加味された。

しかし、この昭和30年代とか昭和40年代というのは急激に景気が良くなっていって、現役世代の賃金の伸びが年率10%くらい上がってき、消費者物価も年率5%程度も上がる高度経済成長の波に乗って、それが昭和48年の第一次オイルショックまで続きました。

あと、昭和35年7月からの内閣ですが、このころは池田勇人という人が首相でしたが、10年間で所得を倍増させるっていう経済計画が行われ、その10年足らずで本当に所得が倍増した時代でありました。

まず何が行われたかというと、まずインフラの整備。当時、今みたいにあちこち舗装された道路とかはほとんど日本には無かったんで、徹底的にインフラ整備が行われました。道路や港、水道や下水とかですね。

道路ができたら、多くの車が通るようになり、物流も改善されるし、ガソリンスタンドができ、更にその辺で食事しようとか休憩しようという人も出てくるからレストランやらスーパーもできて、そういう所の雇用が拡大する。そして町も大きくなっていく。つまり、道路を作ったらそれだけで経済効果が劇的に出てたわけです。

それに昭和39年には東京オリンピックが行われる予定だったから、外国人の人がたくさん来るのに汚い道路じゃみっともないですよね^^;。東京オリンピックも好景気を促進させました。オリンピック景気と呼ばれます。

また、戦後の日本の銀行って企業にお金を貸すほど力はなかったから、国民に預金するよう呼びかけ(預金キャンペーンみたいなのがあった)、そのお金で企業の設備投資が増えて生産も伸び、給与も増えていった。そうすると作った商品もよく売れていく好循環だったわけです。

で、そういうインフラ整備や設備投資のためにも年金積立金も利用されました。そういうのが原因で今の年金制度の財政を圧迫してるんだ! とかいう人も多いですがそうじゃないですからね。年金積立金もこういう経済の発展の為に使うと、景気がどんどん良くなって更に投資した年金積立金もどんどんアップだったから年金積立金の利用が間違ってたわけじゃない。

print
いま読まれてます

  • 100円が16340円に。なぜ年金保険料は60年でここまで上がったのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け