100円が16340円に。なぜ年金保険料は60年でここまで上がったのか

 

ただし、今は年金積立金は年金給付のために使う事になってる。年金給付が本格的になってきたし、高齢化もどんどん進んでるから、そういう事に使うのは適切ではなくなってきたから。そもそも今更、昔みたいにたくさん道路作ったりして公共事業に投資したところで景気が良くなるわけでもない。

あくまで、年金財政を圧迫させてきた主な原因は昭和45年から始まった本格的な高齢化と、昭和50年に合計特殊出生率が2.0を割って少子化に転じた事。そしてこの20年以上にわたる経済の停滞が原因。

年金制度を抜本的に変えるべきだ! といわれても、そもそも経済が良くならなければどんなに年金制度の形を変えても解決にはならない。もちろんこれからも年金制度の改正は必要な事ですが、今の年金制度は昭和60年改正の時のおかげで、かなり柔軟でスッキリな仕組みになっていて形そのものを変える必要はない

また、年金積立金から主に年金が支払われてると勘違いしてる人も多いですが、あくまで主な年金財源は保険料。保険料と社会保障関係費からの税金で足りない分を補助的に使っているに過ぎない。

よって、年金積立金が運用により一時的に減った事で「とんでもない大変な事が起こった!」みたいに見えるニュースを聞くたびに、なんでそんなに大騒ぎしてるんだろうと不思議な気持ちになる。年金積立金が無くなったところで年金は破綻しない

年金積立金は140兆円を超えてるから、たしかにちょっと運用が変動しようものなら数千億円とか数兆円の金額が動いてしまうからパッと見ると衝撃的なんでしょう^^;

そんなに年金積立金があるの!? と思われた方もいるかもしれませんが、さっきも書いたように年間57兆円という年金が支払われてるから、年金積立金だけでやろうとしたらとてもじゃないけど足りない。

平成13年度から年金積立金の自主運用が始まり(自主運用するまでは旧大蔵省だった今の財務省が一元的に国のお金として管理してた。国のお金だ! って事で当時の厚生労働省に渡してくれなかった)、今まで何年もそういう運用益が上がったり下がったりを続けながら、結果的に現在60兆円以上もの運用益を上げてきてる事はあまり知られていない。運用が一時的にマイナスになったら、待ってました!とばかりにニュースになりますが(笑)。

年金積立金管理運用法人(GPIFの運用状況)

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