知らなきゃ損。年金の「併給」が65歳を超えると可能になる場合も

 

さて、この女性は61歳になると今度は自分自身の老齢厚生年金が支給されるようになります。

厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

61歳になる2019年5月の翌月である2019年6月分から老齢厚生年金が支給される。ただし、冒頭で言ったように年金は複数支給されないので有利な年金を選択する必要がある

まず老齢厚生年金額を計算する。

  • 老齢厚生年金(報酬比例部分)→27万円÷1,000×7.125×267ヶ月=513,641円

となる。この金額だけを見ると普通に障害基礎年金貰い続けたほうがいいようにも思う。でもこの女性の場合は障害等級が3級以上(障害手帳の等級ではない)だから、特例があって老齢厚生年金が倍くらい増える老齢厚生年金の障害特例を年金事務所に請求する)。

  • 増える老齢厚生年金額(定額部分)→1,625円(平成30年度定額単価)×267ヶ月=433,875円

つまり、61歳からの老齢厚生年金は報酬比例部分513,641円+定額部分433,875円=947,516円となり、障害基礎年金額を超えるため老齢厚生年金を貰ったほうが得になった。

なお、この女性は厚生年金期間が20年以上(240ヶ月以上)ある為、夫が65歳未満で20年以上の厚生年金期間や共済組合期間、もしくは両者合わせて20年以上ある年金を貰ってない場合は配偶者加給年金389,800円もこの女性の老齢厚生年金に加算される場合がある。

加給年金が支給されるとすれば947,516円+配偶者加給年金389,800円=1,337,316円となる(61歳から)。だから老齢厚生年金を選択した。

※注意

60歳から65歳前までに失業手当を貰う場合は65歳前の老齢厚生年金が全額停止してしまうので、失業手当を貰う場合は障害基礎年金のほうを選択すると障害基礎年金と失業手当の併給が可能。なお、遺族年金も失業手当と併給は可能

じゃあこの女性が65歳になった時はどうなるのか。65歳になると今度は老齢基礎年金が支給されるようになる。同時に定額部分は老齢基礎年金に移行するので消滅する(定額部分と老齢基礎年金の差額は差額加算として支払うが300円程度なのでこの記事では省略)。

  • 老齢基礎年金→779,300円÷480ヶ月×(保険料納付済期間376ヶ月+全額免除期間93ヶ月÷2)=685,946円

よって、

  • 老齢厚生年金(報酬比例部分)513,641円+配偶者加給年金389,800円+老齢基礎年金685,946円=1,589,387円
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