【書評】なぜ仕事一辺倒の人に限って定年後「認知症」になるのか

 

急速に増える認知症が都会に多いのは、単に高齢者の数が多いからではない。知的な仕事をしてきた人や社会的地位の高い人が、その役割を失ったとき急速に認知症の症状が進むようだ。自分に価値がないと感じるストレスから自らを解決するため自分の脳を壊していくのではないか。本人はいいが、周りは悲劇だ。仕事一途で周りの人とつながりを持たないで生きてきた男性は危ない。

一方で、歳をとっても友人や社会とのつながりを保ち、社会的存在として自分の居場所を確保することに長けている女性は、同年齢で比較すると男性に比べて認知症になる危険性は低い。一人暮らしで自分のことは自分でやらなければならない人も、認知症のリスクを下げている。在宅医療を専門とする医師によれば、リスクが高いのは、家族の中で孤立している年寄りである。

認知症対策としては、薬だけに頼るのではなく、高齢者から居場所と役割を奪わない環境作りが必要である。ボランティアなど社会貢献を通じ、感謝の言葉を言われる環境作りが大切である。ささやかでも経済活動に参加できればさらにいい。「役に立ちたい」「感謝されたい」とはわたしも望むとこである。

高齢化の進展とともに急速に拡大する認知症に、日本はどう対応するか、世界中が注目している。認知症はその潜在的コストの巨大さから、社会を揺るがしかねない課題となっている。この問題に日本が適切な対処法を示し、国際貢献しなければならない。世界が憧れる素晴らしい国になるには、やはり団塊の世代の人々の意識改革が必要だと、勝手に思うわずかに歳上のわたしである。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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