本心はどこに?今になって小沢一郎に近づく橋下徹の「皮算用」

 

いまは国民民主党の一員として雌伏する前原氏だが、橋下氏とはなぜかウマが合う。民主党政権の国交大臣だった時代、橋下大阪府知事と協力して関西空港、大阪空港の経営統合をして以来の付き合いだ。

前原氏と互いに刺激しあううちに、橋下氏は維新に欠けているものを明確に認識し、野党結集の必要性を感じて、『政権奪取論』を書いたのではないか。

小沢氏はいまでも橋下氏の稀有な弁舌の才能と決断力を高く評価している。事実、今月13日の記者会見では、橋下氏について「彼は国民の心を捉え、アピールする。政治家の非常に大事な資質を備えている」と語った。

前原氏が橋下氏と小沢氏の会談をセットしたのは、両者の再会で何らかの“化学反応”が起き、野党再編の起爆剤になることを期待したからであろう。

橋下氏もまた、『政権奪取論』のなかで、小沢氏を次のように評価している。

(小沢一郎さんは)かつて自民党の中枢で権力闘争に揉まれ続けてきた人であり、権力の本質について一番理解されていると感じる。

地方の選挙で闘う力のない野党に、国政選挙で闘える力があるはずがない。この点、かつて民主党時代の小沢一郎さんは、知事選挙や大型市長選挙では自民党と対決する方針を打ち出していたが、野党はこの方針の重要さに気付いておらず、今はうやむやになってしまっている。

来年夏の参院選の時点では、安倍政権も自民党総裁任期満了の2021年9月まで2年余りとなり、選挙結果次第ではレームダック化する可能性がある。安倍政権に力を貸してきた日本維新の会も、国政では存在感を示せず、このままいくと、いずれ消滅しかねない

橋下氏が政界に戻りたいと思っても、維新の現国政メンバーの力量と、全国各地の地方組織が整っていない現状を考えれば、前途はきわめて厳しい

そこで橋下氏は、提案型野党を標榜し始めた国民民主党と手を組んで維新の第二自民党的イメージを刷新し野党結集の核となる戦略を描いているのかもしれない。

もし両党の連携が成立すれば、次にどうやって立憲民主党を仲間に引き込むかということが問題になる。立憲民主党はそうそう簡単には乗ってこないだろうが、一時の党勢が下火になってきているだけに、政権交代をにらんだ野党連合が現実味を帯びるなら、柔軟な対応に転じることもありうるだろう。

民主党政権時代の前原氏はいわゆる“反小沢系”議員の一人だった。その点では枝野氏も同じだ。かつて自由党が民主党に合流したとき、最も反対したのが枝野氏だったといわれる。しかし、枝野氏もまた昨今では、小沢氏と定期的に会食しているようだ。

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