ゴーンは三社連合に君臨すると、自らの報酬を増やすことに熱を入れはじめ、ゴーンが有価証券報告書に記載せず受け取った報酬は2018年までの8年間で約80億円に上るとみられ、この他にも株価に絡んで約40億円、また親族に対しコンサルタント契約を装って業務実績がないのに少なくとも数千万円の報酬を払ったり、レバノンのベイルートやブラジル・リオデジャネイロなどに会社の費用で数億円もする複数の住宅を買ったりしていた。
今回のゴーン逮捕はこうした不正な報酬を有価証券報告書に虚偽記載し、投資家や株主を欺いた罪を問われたものだった。その虚偽記載にあたってはゴーンの側近中の側近といわれたグレッグ・ケリー元代表取締役も逮捕されている。経営手腕はあったが私欲にかられ、品位に欠ける行為に走ってしまったといえるだろう。
今回のゴーンと三社連携の取扱いは厄介なことになりそうだ。日本側はゴーンを解任したが、フランス世論はゴーン逮捕に関する日本の司法に不信感を持っている上、仏政府がルノーに15%出資している株主であり、更にルノーは日産に対し43%出資し議決権も持っているからだ。仏側は日産の技術力に対する期待があるため、簡単に提携解消とはいかないし、ルノー側はゴーンの地位もそのままにして変えていないのだ。
仏にとっては自動車産業の競争力や雇用問題にもつながるので、今後は民間三社だけでなく、政府も絡んだ交渉へと長引きそうだ。
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