F-4ファントムの後継機としてFXの導入計画を決めた段階では、F-15の後継機種として第6世代戦闘機が登場するとの期待感があり、それでF-35は42機となったのです。しかし、近い将来に第6世代戦闘機が登場する可能性は遠ざかり、非近代化改修F-15の後継機としてもF-35が相応しいことが明らかになっていったのです。
そういう経過をたどり、F-35は「日本側の問題」を排除する目的のもと、財務省から防衛省に下ろされる形で決定に至りました。 日経が報じた「合計140機」の内訳としては、F-15の後継機として導入されるF-35のうち40機ほどが垂直離着陸可能なF-35Bになると見るのが自然でしょう。同じとき、F-35Bのプラットホームになると考えられる多目的運用母艦の建造が大綱に盛り込まれる方向なのとあわせると、離島防衛能力の強化が加速されるのは明らかだからです。
課題は日本側に調達能力が存在しないことです。西恭之さん(静岡県立大学特任助教)のコラム(2017年2月2日号)によると、2007年に1機2.79億ドルだったF-35Aの価格は2016年には1.02億ドルと3分の1近くにまで低下しているのです。これはトランプ大統領がロッキード・マーチン側に価格抑制を要求した2017年以前から始まっていた流れです。
大量に導入する日本としては、これを1機0.90億ドル(約100億円)以下に抑え込むほどでなければ、国際的な交渉力の不在が浮き彫りとなり、ほかの通商問題などに好ましくない影響が出るのは避けられないでしょう。(小川和久)
image by: U.S. Air Force photo by Master Sgt. Donald R. Allen [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で