MBAが解説。100億あげちゃったPayPayが生き残るためにすべき事

 

ユーザーのメリットは何か?

では、スマホ決済を実際に使うユーザーの立場から、考えてみましょう。

買う側のユーザーの方は、スマホで店頭のQRコードにかざすだけなので、まず簡単会計がスピーディになります。さらに、家電量販店などとのポイントもダブルでつくので、さらにお得、というメリットがあります。お金の出し入れが記録されることで、使いすぎにも注意できるので、節約型、しっかり者のユーザーにとっても便利です。

一方で、潜在的な面倒さとしては、アプリダウンロードなど最初の手間がかかること、ID登録までの紐付けが面倒、使える店がまだまだ限られていること、PayPayへのアクセスの集中で回線が動かなくなったというハプニングもあったと報道されました。

交通系カードよりも楽に使えるとか、これらの壁を乗り越えるだけのメリットを打ち出すことが、これからの課題です。

さらに、ユーザー側は、最初のサービスが良くても、それ以降のサービスが充実していなければ、当然ですが、他に流れてしまいます。PayPayとしては、100億円、10回に1回10万円、20%還元などとお金でのキャンペーンを仕掛けたので、お値打ち安さが好きな顧客層が流入している可能性もあるため、今後のキャンペーンでどう舵を切っていくのか、が重要になります。

このPayPayと、LINE Pay、楽天ペイ、Origami Payとを比較してみると、PayPayとLINE Payは、今は決済手数料なしというのが特徴です。つまり、自社決済を使えるお店を増やす戦略です。これは、昔ヤフーBBがADSLサービスを開始した時に、使用できる機材を無償で配布した戦略と同じです。

また、スマホ決済に関しては、店側にとって機材不要で電源不要、QRコードの紙を置いておき、ユーザーにスキャンしてもらい、金額を打ち込むだけ、というプロセスなので、店側の設備投資が少なくて済むという加盟店のメリットがあります。

LINE PayはPayPayとの共通点は多いのですが、メッセンジャーアプリの特徴を生かし、テレビCMでもやっているように、友達間で送金が簡単で、割り勘などもできるというのが差別化ポイントです。楽天ペイは、楽天カードでポイントが増えることが特徴です。

来年からは、郵貯やセブン&アイも参入してくる携帯キャリアのように、いつかは3つくらいに集約されていくでしょう。

そしてもちろん、ユーザー側にとっての決済手段は、もちろんスマホ決済だけではありません。キャッシュレスでは、クレジットカード、交通系カードもあるし、プリペイドカードもあります。さらに、見逃しがちですが、決済手段としての現金も、当たり前ですがあるわけです。

これらの決済手段には、世代間で今は大きな差があることも推測できます。

PayPayもこれらの直接・間接競合との差別化ポイントをターゲット層を明確にしながら以降訴求していかなければ、話題性のみで終わってしまいます。どんな戦略で、維持・継続策を打ち出してくるのか、が今からとても楽しみです。

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