伊藤忠社員をスパイ容疑で1年拘束する、中国という不可解な地獄

 

前回もこのメルマガで書いたように、中国においてスパイという存在は非常に歴史が長く、中国はスパイ養成に長けている国です。その一端として、ファーウェイの幹部事件もありました。

日本政府が使っていたファーウェイ製品を分解したら、中から「あってはならないもの」が出てきたとの報道もありました。世界各国に点在する「孔子学院」が相次いで閉鎖されているのも、孔子学院は中国人スパイの巣窟だということが世界でも認知されはじめたからです。

しかし、日本は諜報活動員を保護するノウハウを持っていない、諜報活動員が現地で拘束されたら保護するどころか、見放す傾向にあるという話もあります。まあ、スパイが捕まったときは見捨てるのがセオリーではありますが、逆にきちんと抗議して保護しないとスパイだと言っているようなものです。

もちろん、スパイ行為はどの国でもやっていることであり、日本だけやっていないのでは、国際競争についていけません。

しかし、スパイ活動と命の危険は隣りあわせであり、スパイ活動を推進するなら、諜報員の保護は必須です。今回の報道にある伊藤忠の社員が、本当にスパイだったのかどうかはわかりません。本当はリニアの開発のための仕事の一環としての活動が、諜報活動とみなされたのかもしれません。

日本政府のスパイではなくても、国際企業として他国の情報を探るということは、当たり前のことですし、それが産業スパイとみなされてしまうこともありうるでしょう。とくに中国は、前述したように「人質外交」も盛んですから、細心の注意が必要です。

どちらにしても、日本は海外での邦人保護をもっと積極的に行うべきです。こうした国家間のトラブルはよくあることだし、トラブルに見舞われた国民を保護するのが政府の役割です。日本は国際的にもっと危機管理を徹底するべきだし、もっとずる賢く立ち回るべきでしょう。

中国人でさえ国家機密がどこまでなのかがわかっていません。かつてのジョークで、中国の小学生が教師に「先生、私の名前は国家機密ですか?外国人に自分の名前を教えてはいけませんか?」といったというのがありました。

また、日本の記者が中国で食堂に入り、メニューを取材ノートに記入したら「国家機密窃盗罪」で連行されたという話もあります。食堂のメニューまで国家機密ですから、中国とはじつに不可解な国です。

外国人に限らず、中国人の人権活動家や弁護士が連行されたというニュースは珍しくありません。

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