伊藤忠社員をスパイ容疑で1年拘束する、中国という不可解な地獄

 

朝日新聞によれば、「中国各地で2015年以降、スパイ行為などを疑われた日本人12人が拘束されたことが判明。今回の事例を加えて13人が拘束され、うち9人が起訴された。すでに4人に実刑判決が言い渡されている」

伊藤忠社員を中国が拘束 1年前、私的旅行中か

この背景には、中国の法整備が関係しています。

2014年11月、反スパイ法を施行したのを皮切りに、15年7月に国家安全法、16年1月に反テロリズム法、17年6月にサイバーセキュリティ法と国家情報法を相次いで施行しました。これは、習近平に権力を集中させるためでもありテロ対策や治安維持のためでもあります。

今の中国は、かつての貧しい第三国ではありません。世界を牽引するアメリカと対等な先進国としての地位を確立したつもりでいます。経済を優先させて急成長してきた中国は、国内のあらゆる面での矛盾も抱えています。貧富の差は広がるばかりだし、治安も悪い。なにより力をつけた国には諸外国からのスパイが競ってやってくるものです。

ただでさえ一党独裁の不透明な政治を行っているのですから、公にされては困るものは沢山あるし、スパイが盗むべきものも沢山あるわけです。そもそも、中国は人間不信社会ですから、誰も信用できません。そこで登場したのが反スパイ法などの国家安全法です。

反スパイ法では、日本人のみならず、カナダ人なども逮捕されています。例のファーウェイ幹部逮捕に対する嫌がらせです。中国は、反スパイ法で外国人を捕まえ、相手国にプレッシャーを与えることもよくあります。いわゆる「人質外交」です。

もっとも、建前としては、どの国もスパイなど絶対にいないと言っていますが、映画などにも描かれているように諜報活動はどんな国でもやっていることです。

日本はそうしたスパイへの対応策がないことから、「スパイ天国」と揶揄されていますが、日本にもスパイのような役割を持つ人はいます

ここ数年、中国で逮捕されている日本人が本当にスパイだったのかどうかはわかりませんが、一部報道では、中朝国境で情報収集していた男性は日本のスパイだったという話もあります。

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