メンタルコーチの役目
荒木教授は「アスリートはメンタルがもともと強いというのは思い込みだ」とも言います。厳しい練習や指導に耐える力はあるかもしれません。しかし、彼らとて落ち込むこともしばしばあります。それに、試合に臨むときには誰しも緊張や不安を感じます。それが普通なのです。
緊張したり不安になることは、決して悪いことではありません。その緊張や不安をどうとらえるかという訓練をするのが、メンタルトレーニングです。また、メンタルトレーニングでは、失敗した時の考え方や気持ちの切り替え方も教えてくれます。そして、試合で平常心を保つというのは難しいことです。そのかわりにどうしたらいいかということも教えてくれます。
ただし、トレーニングの方法は、選手一人一人同じではありません。しっかりと選手に向き合って話し合い、方法を探り出すのがメンタルコーチの役目です。
また、一流選手ほど過去の成功体験を引きずっています。それが、成長の壁になることもあるのです。日本代表のチームともなれば、優秀な選手ばかりが集まってくるので、それまで優秀だと思っていた自分に自信がなくなっていくということが起こります。それを修正してモチベーションを上げるのがメンタルコーチの役目です。
さらに、メンタルコーチは、目標の立て方や達成の仕方も教えます。その科学的な手法があるのです。それによって、目標が達成しやすくなります。これは、従来の指導者では、なかなか出来ないことでしょう。
はたして日本のスポーツ界に、このような指導者がどれくらいいるでしょうか。ぜひメンタルトレーニングを学んでほしいものです。そうすれば、体罰やパワハラはなくなります。そして、正しい方法で選手の力を引き出すことが出来るでしょう。
ついでながら、このセミナーを聞いて思いました。経営者もメンタルトレーニングを学ぶと良いです。そうすれば、社員のモチベーションをあげる方法が分かります。また、目標を達成する社員が増えるでしょう。そして、失敗をしても気持ちを切り替えられる方法を手にすることができます。メンタルトレーニングが経営に活かせそうですね。
■今日のツボ■
- 日本のスポーツ指導の方法を変えるチャンスである
- スポーツ指導者はメンタルトレーニングを学ぶと良い
- そうすれば、正しく選手の力を引き出すことができる
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