4.人の集まっている市町村
一人当たり課税対象所得が高い市区町村には、転入超過となっている市区町村が多い傾向があります。
移動の全体に占める外国人等の割合は2013年から2017年の平均で、約13%で、人口に占める外国人等の影響は年々上昇しています。総数で社会減少(移動による転入を転出が上回る)となっている1,340市区町村のうち、外国人が社会増加(移動による転出を転入が上回る)となっている市区町村が約82%です。
外国人の増加によって、人口減少がカバーしている市町村が多数あることが分かります。高い収入を得やすいところに人が移動し、それによって人口が減少し、人手不足に困る市区町村を外国人労働者が支えている…という状況が見えます。
在留外国人の増加は13年以降続いており、18年6月末時点で263万7,000人となり、さらなる増加が見込まれますが、外国人労働者も、より多くの収入を求めて、都心部に居住するという傾向があります。
外国人労働者に支えられている人口減の市区町村から、今後、外国人が大都市に移動するという傾向は、ますます進むことと思われます。
この資料から、「大都市圏、特に東京圏への人口集中は、ますます進むだろう。で、やはり集中の理由の一番は、収入の多い仕事があるということ」が確認できました。
さらに、高学歴で大企業等に就職した女性は都心部に住み、結婚しても子育てしながらも仕事を続けるためにやはり都心部に住居を求める。それが、都心部のタワーマンション需要を支えてきたことが分かります。
一方、外国人は、時給が高く長時間働けるところで働くことを望み、大都市、その近郊に居住する傾向があります。したがって、比較的家賃が低い都心部の高経年マンションに、外国人居住が増えている状況は必然と言えます。今後も増えることはあっても減ることはないでしょう。
「働き続ける女性」と「外国人労働者」は、どちらも、国の方針に合致した存在ですから、今後、ますます増えるでしょう。都心への人口集中はまだまだ進む…。その鍵を握るのは、「働き続ける女性」と「外国人」のようです。
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