8月20日、当時の校長と現校長、野球部顧問が、生徒の遺族宅を訪問し両親らに謝罪したことが報道されています。当時の校長は「自分がしっかりしていれば防げたはずだった」、野球部顧問は「自分が気付くことができなかった」と謝罪したものの、自分が行っていた「いじめに類する行為」については、聞いても無言のままであったということです。
調査報告書に、「教員に配慮と適切な対応があれば自殺を防げた可能性があった」とされながら、何らの処分もされないのです。今回、処分されなかった理由は、「規定がないからだ」と県教委は説明しています。
冒頭の記事にある、いじめ防止法改正案から懲戒規定が削除された理由に、教員からの反対があげられます。反対理由は、「教員の負担が増す」、「いじめを隠す方向に傾いてしまうおそれがある」、「教職員のモチベーションの低下を招く」、「現場の萎縮(いしゅく)を招く」、「『地方公務員法』に懲戒規定があるから新たに定める必要はない」と伝わっていますが、現実には、今回のケースのように、「地方公務員法」があっても何らの処分されずに、普通に教壇に立っている教師がいるのです。
児童生徒へのいじめ、いじめへの加担、助長、放置、隠蔽などした教師に対する懲戒処分を明記するなど、いじめ防止対策推進法の改正は必要です。私たちは、今後も懲戒規定を定めることを訴えて参ります。
また、都道府県や政令指定都市の懲戒処分等の基準で、「いじめ」に関して取り決めをしているのは、ごく一部の少数の自治体に限られています。全都道府県・全政令指定都市で、懲戒処分の基準にいじめに関する規定を盛り込むように、文科省は指導するなど積極的に取り組んでいただきたいと思います。
いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井 妙子
image by: Shutterstock.com