明らかに人災。新型コロナの感染を拡大させた安倍政権の大失策

2020.02.27
 

…というわけで、そんなキングストン教授が書いたワシントンンポスト紙の22日付の記事は、まるで「きっこのツイッターか?」と思うほどの攻撃力で、安倍首相のことを厳しく批判しています。そこで、全文を和訳して紹介することはできはませんが、要点をかいつまんで紹介したいと思います。

まず、その記事のタイトルは『Japan’s response to the coronavirus is a slow-motion train wreck』です。「a slow-motion train wreck」というのは、一般的には「trainwreck in slow motion」という英語圏でよく使われる言い回しです。直訳すると「スローモーションの列車事故」という意味ですが、それが転じて「誰の目にも明かな失敗による大惨事」という意味になります。つまり『コロナウイルスへの日本の対応は、誰の目にも明かな失敗による大惨事』というタイトルなのです。そして、こんなふうに始まります。

日本の官僚はいくつかの点で優れていますが、危機管理はそれらの1つではないようです。ダイヤモンド・プリンセス号に乗っていた日本人男女を含め、世界中で2,000人以上の命を奪った新型コロナウイルスに対して、日本政府は、1995年の神戸、2011年の福島と同様に、緊急時の適切な対策を行ないませんでした。1995年に大地震が神戸を襲った時、日本政府は緊急時の規制の緩和を拒否したため、スイスの捜索救助犬は被災者を救うことができませんでした。避難者に援助しようとしたボランティアも当局によって締め出されました。日本政府が行動する前に、ヤクザでさえ避難者のために炊き出しをしていたと言うのに。

そして、福島第1原発事故の対応については、国会の福島原発事故調査委員会の黒川清委員長の当事の言葉を引用して「日本の官僚システムは、公共の安全を守るという最優先されるべき義務よりも、組織の利益を優先するように作られている。この官僚主義が原発事故を人災にしてしまった」とまとめています。

皆さんご存知のように、阪神淡路大震災の時の政権与党は、自民、社会、さきがけの連立体制で、首相は社会党の村山富一でした。また、東日本大震災の時は、民主党政権で、首相は菅直人でした。ですから、日本に精通したキングストン教授は、単に安倍政権だけを批判しているのではなく、古くから日本を牛耳って来た官僚主義を批判した上で、人事を盾にして、その官僚をも骨抜きにし、自分の独裁的な政権を作り上げた安倍首相を批判しているのです。記事は次のように続きます。

ああ、またか。新型コロナウイルスへの日本政府の対応を見て、私はスローモーションの列車事故、つまり、誰の目にも明らかな大失敗であり、これが大惨事に繋がると思いました。日本政府は、中国の旧正月の行楽客が来日して来る1月末まで、遅々として納屋の扉を閉めようとはしませんでした。本来であれば、賢明な対策を講じてアウトブレイクの準備をしておく重要な期間に、日本政府は発生国からの行楽客を受け入れ続けて満足していたのです。入国者の感染の有無を検査するために、多数の検査キットを準備する時間は十分にありました。それなのに、どうして日本政府はそれを行なわなかったのでしょうか?

そして、次のように続きます。

新型コロナウイルスに対応した日本の管理担当者は、感染症や封じ込めの専門家ではなかったため、アウトブレイクへの対応能力が完全に不足していました。特にダイヤモンド・プリンセス号に関しては、厚労省が乗客の検疫を中止したため、豪華客船をウイルス培養のための巨大なシャーレに変えてしまい、国際的に批判が集中しました。

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