深刻な中小企業への打撃。新型肺炎は日本経済を破綻に導くのか?

 

減・減・減

【毎日】も7面。売上の減少についてのまとめ的な記事を掲載。見出しから。

  • 百貨店 売上高大幅減
  • 旅館宿泊 予約45%減
  • 新車 5カ月連続減

見出し中、「百貨店」「旅館宿泊」「新車」だけ黒バック白抜きで際立たせているので、“3連発”という印象。見出しの最後は、どれも「減」になっている。

百貨店については大手4社のそれぞれについて書いている。「訪日外国人客の減少の他、「国内客も2月後半に国内で感染拡大が報じられた頃から一段と落ち、その後の政府による外出やイベント自粛要請でもう一段落ちた」と話すのは三越伊勢丹の担当者。この先さらに、時短や臨時休業で売上は落ちる見込みのようだ。

日本旅館協会の調べでは、37道府県の約400の宿泊施設で、3~5月の予約人数が前年同期比45.2%減となっている。政府の「自粛要請」で直近の数字はもっと悪いだろうとも。なかには予約ゼロになったところも。

2月の国内新車販売台数は前年同月比10.3%減。昨年10月から5カ月連続の減少。

uttiiの眼

消費動向が、新型コロナウィルスを巡る日本社会の状況に対して、非常に鋭敏に反応したことが分かる。この先、検査数が増えれば、感染の実態はもっと深刻なものであることが分かるかも知れない。そうでないことを祈るが、仮にそうなったときには、さらに大きな影響が生じ、強い産業政策が必要になってくるのかもしれない。

近づくコロナ不況

【東京】は1面中央の記事と2面の解説記事「核心」。見出しから。

1面

  • コロナ 消費直撃
  • 百貨店大幅減/落ち込み震災超え

2面

  • コロナ不況 突入の恐れ
  • 大手百貨店 売り上げ激減
  • GDP下方修正 待ったなしか
  • 設備投資 3年ぶり減

1面は、他紙も引用している大手百貨店4社の売上高に関する発表を比較的細かく紹介。百貨店の売上高に占める訪日外国人客の比率は1割前後だが、中国人に人気の化粧品や高級ブランド品を中心に売り上げは6~7割減だったらしい。

また、大和総研によれば、今年2~5月の個人消費の抑制額は3.8兆円に達していて、東日本大震災後の3.6兆円を上回ると試算。東日本中心だった震災の時と違い、今回は政府の自粛要請のために悪影響が全国に及ぶという。1-3月期のGDPがマイナス成長に陥る可能性を指摘するエコノミストもいるようだ(明治安田生命保険のチーフエコノミスト)。

2面。やはり百貨店の売り上げの落ち込みと、中国からの部品供給がなくなったために止まらざるを得ない国内製造業への打撃について書いている。また、財務省発表の法人企業統計で明らかになった設備投資の落ち込み(3年ぶり)で、9日発表のGDP改定値は年率換算-6.3%からさらに下方修正される可能性があるという。こうしたことから、《東京》は「不況に突入する恐れが強まってきた」
(リード)とする。名付けて「コロナ不況」。

uttiiの眼

他の各紙がなかなか書けない「不況」という言葉を出しているのが、《東京》の最大の特徴。GDPの改定値が下方修正されるのは確実で、仮にしなかった場合、統計への不信感がまたもや再燃するかもしれず、財務省はどうしたらいいか、悩んでいるに違いない。

image by: Rodrigo Reyes Marin / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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