危険な経済刺激
ということで、日本政府もアメリカ政府も「経済刺激」を始めました。その長期的な副作用を理解しておかないと大変なことになります。日本政府は100兆円規模、アメリカ政府は600兆円相当規模の刺激を行うと言っています。この「刺激」をもっとわかりやすく言うと、「お金を刷ってばらまく」ということです。しかし僕の予想では、アメリカに関しては600兆円では済まないと思います。
メルマガで幾度となく僕は書いていますが、「お金を刷る」というのは「価値を生む」行為ではありません。逆に「価値を薄める」行為です。そして「お金を刷る」行為は「財政赤字を生む」ことでもあります。そして最終的にはアセットを持っていない中流層がかならず被害を受ける仕組みになっています。
現代貨幣理論(MMT)では「自国通貨であればどんだけ財政赤字を出しても大丈夫」という考え方があり、日銀もずっとそれを行ってきました。しかし古代ローマが滅びた時も今でいうMMTと同じことをしていたので、決して「現代」の理論ではありません。そして長期的には「うまくいかない」ということは歴史が物語っています。
現在の日本に当てはめてみると、「政府が補償すべきだ」「補償してくれれば大丈夫だろう」という考えは危険だと言わざるを得ません。銃を持つほど極端に走らず、「政府が助けてくれる」という安易で極端な考えにも走らず、「生き延びるには何が必要か」ということを見据えて考える必要があります。
自分の業界が危ないのならばバックアップを考えなければなりません。無制限の経済刺激で貨幣の価値が薄められるならば、どうやってその通貨の希釈から身を守るかも考えなければなりません。これから先、国際社会にさらなる「嵐」が訪れると僕は予想していますが、だからこそ「~のせい」と短絡的に片付けずに現実を直視して対応していかなければならないと考えている今日このごろです。
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