【英語嫌い必見!】日本で育って英語がペラペラになる6つのチェック項目

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目の前でダンサーが踊っていて、それをマネしてみてと言われたとしましょう。ダンスの基本的なステップや体の動かし方を知らなかったら、ダンサーのやった動きが果たして足を動かしたのか、腰を動かしたのか、経験のない人にはわかりません。それと同じように、英語の単語や構造を知らずに英語を聞いても、さざなみの音や街の雑音を聴いているのと同じで、そこに意味を見つけることができません。時々知ってる単語が出てきて「あ、いまの分かった」と思うくらいで、他の分からない部分は分からないまま音が流れていってしまいます。他の例では、目の前でギタリストがコード進行をいくつか弾いていて、それをマネしてみてと言われたとします。よほどの才能でも無い限り、どんなにコード進行を聴いていてもそれをマネすることはなかなかできません。コードがなんぞやという理解と、どの弦を押さえればどの音が出るかなどの、基礎知識が必要です。その基礎知識があれば、ギタリストが弾いたコード進行の内容が聞き取れて意味のあるものとなります。そういった基礎知識がなければ、そよ風と同じように意味がわからないただ心地良い音として耳を素通りしてゆくだけです。もちろん、繰り返し聴くことで感覚やセンスが養われることはあると思います。けれども、系統的にギターを学んで身に付けるという目的としては、ただ聴いているだけでは効率が良くありません。

英語のリスニングやスピーキングに関しても、同じことが言えると思います。流れてくる英語に対して耳が「解像度」「理解度」がないと、ただの雑音になってしまいます。そしてその解像度や理解度は、上記の語彙や構文を知っているかどうかで大きく変わってきます。自分の中に、英語の意味をキャッチする受け皿を作ることが、多くの人にとって効率よく英語を身につける上で大切なことだと僕は思います。

ということで、英語のラジオを聴いたり、英会話教室やネイティブの人と会話を練習するのは良いエクササイズですが、それだけでは不十分です。単語や英語の構造を知った上で英語耳をつくっていくことが大切です。

【理解力はもうすでにあなたの中にある】

最後に、英文を読んだり聞いたりして内容を理解しようとする時に、自分の持っているものすべてを使うことを心がけてみて下さい。ここまで単語や構文などの基礎的な話をしてきましたが、それらを身につけた上で、英語と向き合う時にそれらをツールとして使いながら、自分の人生経験もフルに活用して理解しようと試みるのです。日本語だったらきっと簡単にできることですが、英語になるとこれが急に難しくなってしまうことがあります。単語や構文は非常に大切ですが、その中だけに凝り固まってしまうと、英語に接した時に単語と構文に縛られてしまうことがあります。そして理解に誤差や違和感が生じた時に、その誤差や違和感の脳内補正がこの縛りのためにうまくいかないことがあるのです。ですから、単語や構文はしっかりと覚えることは大切ですが、それを一度した上で、英語と接する時に自分の頭をある程度開放することが必要で
す。

たとえば、日本語でなにか文章を読んでいたり話を聞いている時には、「何の話なのかな」「次の展開は何かな」「似た話聞いたことがあるぞ」「人っていうのはこう考えるんじゃないかな」などと、色々な予想を立てたり意見を持つことができます。この能力を、英語を読んだり聞いたりする時もフル活用するのです。この能力こそみなさんの人生経験であって、最終的には最もパワフルな語学理解のツールになります。英語の文章を「追う」のではなくて、「先導」するように意識するのです。評論家の難しい話を聞いている時に、なんとか理解しようとしたら自分の経験に照らし合わせて考えるはずです。子供がなにか言いたそうな時は、その子の表情や性格も合わせて理解しようとするはずです。ねこがなにか訴えている時にでさえ、その子の気持ちを一生懸命察する努力をしながら理解しようとするはずです。そもそも言語は「伝える」ツールであり、発信者が「伝えたい」という気持ちで言葉を送って来ています。前々回のメルマガで「伝えたい気持ちが大切」ということを書きましたが、今回はその受け側の心構えとして「察して理解する努力」が英語習得でもキモになるということを強調しておきたいと思います。そして、その察する能力はみなさんがすでに送ってきた人生経験の中に満ちあふれているのです。

僕が高校生の時に大変お世話になった英語の先生が、Reading is leading.と言っていました。訳してみたら「読むことは先導すること」となりますが「読むということは自分の人生経験を使って先読みと理解をすること」というのがその核心だと思います。

ということで、英語学習における基礎と心構えについて書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』 Vol.089(2015.1.6号)

著者/しんコロ(ねこブロガー・ダンスインストラクター・起業家・医学博士)
神奈川県生まれ。ニューヨーク在住。環境科学の修士号を取得後渡米、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ドイツキール大学での客員研究員を経て、免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。現在、世界有数のがん研究所として知られるニューヨークのメモリアル・スローンケタリング・がんセンター勤務。研究者としての仕事の傍ら、ヒップホップダンスインストラクターを兼ね、レシピやエッセイなどの執筆なども行っている。2011年にOKYN,LLCを起業。著書に「しゃべるねこ、しおちゃんと僕」「しゃべるねこ、しおちゃんの写真集」や、DVD「しゃべるねこ、しおちゃん」「ともだち」等がある。
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