仕事がしんどい?それは自分の人生が「それだけ」になってるサイン

 

3.定年は、やるべきことと人間関係を失う

私は30歳になる前に会社組織内の競争から離脱し、独立した。独立してからのビジネスは競争ではない。というより、個人が誰かと対等な条件で競争する機会はほとんどない。競争と言うより、孤軍奮闘であり、油断してると仕事を干されたり、仕事のチャンスを得られなくなるだけだ。これは競争とは言えないだろう。

一般のサラリーマンも定年になれば、競争から解放される。解放されるのは良いが、次の目標が見つからない。学校に入学すれば、教科書や課題が与えられる。勉強する内容も手段も誰かが指示してくれるのだ。これは、会社も同様である。入社すれば、仕事が与えられる。必要なスキルも研修やOJTで身につけることができる。組織はやるべきことを与えてくれる。しかし、組織から離脱すると、誰も何も与えてくれない。自分で仕事を見つけ、自分で交渉し、自分で回収しなければならない。

学校や会社は、やるべき課題や仕事を与えてくれるだけではない。クラスメートや同僚、先輩、後輩、先生や経営者といった、人間関係を設定してくれるのだ。つまり、人間関係も与えてくれるのである。定年で退職するということは、やるべきことがなくなり、人間関係もはぎ取られる。そして、学校も会社もやるべきことを自分で見つけること、自分から人間関係を築いていくことも教えていないのである。

4.組織に依存せず個人で生きること

人生の目標の一つは、自らやるべきことを見つけ、人間関係を築くことではないか。それを組織に依存したために、組織から離れると、何もできなくなってしまう。更に遡れば、動物はパートナーを見つけ、子孫を残すことが大きく意味を持つ。そのために、生れ、死んでいくと言っても過言ではない。

どんな動物もパートナーを獲得するために多大な努力をする。それは本能だ。我々はその本能さえも失おうとしているのではないか。パートナーを獲得する方法については、学校でも会社でも教えてくれない。しかし、学校や会社が与えてくれる人間関係の中から、パートナーを見つけることは可能である。

そのチャンスを逃し、勉強と仕事だけに打ち込む人は、気がつけば歳を取り、チャンスを逃している。会社組織から離脱すると、仕事も給料もなくなる。金がなくても、自給自足ができれば生きていけるが、現代人は、お金がなければ何もできない。

昔のお百姓さんは、道を作り、水路を作り、家を建て、食料となる米や野菜を作っていた。季節になれば、キノコや山菜を取り、魚を釣り、家畜を飼うことも多かった。現代人はそうした「生活を組み立てる具体的な知識や技術」を持っていない。昔は、これらの生活技術は当たり前のように伝承され、身につけていたのだろう。その前提の上に、学校教育があり、会社の教育があったのではないか。

我々は、進学し就職するための勉強はしてきたが、組織に依存せず、個人で生活するための勉強は行っていない。いかに健康を維持し、食料を調達するか。いかにコミュニティを構築し、コミュニケーションを取るか。それこそ、人生ではないだろうか。

編集後記「締めの都々逸」

「昼間真面目に 生きてる奴も 夜が更ければ 別の顔」

コロナでみんな真面目人間になったみたいで、夜の街を目の敵にしているのが気になっています。真面目人間は組織に依存しているんじゃないかな。個人でフラフラしている奴は不良のレッテルを貼られたりしてね。でも、世界恐慌になると、経済の仕組みが壊れると思っています。そのときに、真面目だけで生きていけるのかな、と疑問に思っています。(坂口昌章)

image by: Shutterstock.com

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