子どもを叱れぬ「甘い」教師の落とし穴。だから生徒に信用されない

 

ここで大事なのは、ワンセットとして、それ以上にこれまで正しい行為を褒める、認めているということである。ここ数回何度も述べている「信賞必罰」の大原則である。先にベースとして、正しいことを正しいと認める行為がたくさんある。

授業開始時に席につかずに騒いでいる子を叱るのは、ずっとずっと後でよい。それよりも、真面目に授業開始を待って準備している子どもと目を合わせ、認める。きちんと頑張っている真面目な子が、最初はたとえ一人や二人であっても、それを繰り返せば、あっという間に大多数になる。

逆も成立する。騒いでいる子どもをまず先に叱ったとする。真面目な子どもは、ただ黙って座ってその叱責を聞いている。これが繰り返されれば、最初は少数が騒いでいたとしても、あっという間に大多数が騒ぐ学級になる。騒いでいる方が認められる(見て止める=注目する)からである。

ひたすら甘い先生が人気を博すのは、だらけた集団の場合だけである。やる気のない人たちが、騒ぎ放題騒げるからである(一部の大学生が、さぼっていてもとにかく単位を与えてくれる甘い教授が一番いい、というのと同じである)。

子どもたちの真の成長を願う愛情の裏付けがあるのならば、厳しくなるのは当然である。

一方で、甘くした方がいいのは、傷ついている子どもたち、心理的に0より下にある子どもたちである。これはいうなれば病人のような状態だから、厳しくトレーニングしても逆効果である。いわゆる正常な心理状態の相手である場合ならば、しっかりと鍛えるところである。

そう考えると、厳しい先生も甘い先生も、ニーズがある。ただ、単に嫌われたくないから叱らないというならば、それは完全に思い違いであるということだけは断言しておきたい。

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