今こそ学ぶべき渋沢栄一の「日本型資本主義」そこに隠された本当の意味とは?

 

渋沢栄一が提唱した「日本型資本主義」を立て直す

「出口がない」日銀ETF問題に、友人のファンドマネージャーが妙案を提唱しています。

ETFを日本銀行のバランスシートから外して特別基金に移管し、現物株式へと交換します。現物株式のアセットオーナーになりますので、企業へのガバナンスもきちんと行使できます。

そして、仮に50兆円の株式ポートフォリオの配当利回りが1%だった場合、年5000億円の財源が生じます。

この財源を、去年から浮上している「大学ファンド」に活用すれば一石二鳥です。「大学ファンド」構想への反対は、日本政府の財投(借金)を財源としていることとリスク資産を増やすことです。

ETF残高を日本銀行のバランスシートから外して特別基金に移管することで、大学基金の財源は既に確保できることになります。

また、日本政府(国民)が新たなリスクを抱えることもありません。日本銀行が既に抱えているリスクですから。

前例のない考えなので、多くの「出来ない」理由が挙がることでしょう。ただ、異次元の金融政策の「出口」は、異次元であってもよいのではないでしょうか。日銀だけで決定できることではなく、政治主導が必至です。

福島原子力発電所において非常用電源を浸水しかねない場所に設計し、かつ放置してあったことは、明らかに日本のシステムが「壊れている」状態でした。日銀ETF問題も、明らかに日本型資本主義が「壊れている」状態です。

でも、今ならば、直せます。株式市場が大きく下落して、大問題として表面した時では、致命的に遅すぎます。

□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □

『論語と算盤』経営塾オンライン 

『渋沢栄一 訓言集』一言集

一般市民の困らぬよう国運の進歩を
つとめて行くのが善政である。

日銀のETF残高が増えても、一般市民が困らないじゃないかという意見があるかもしれません。むしろ、株式市場の底上げになっているので、喜んでいるかもしれない。しかし、短期的にそう見えても、長期的に過剰なリスクが積み重なっている状態が国運の進歩を導く善策とは思えません。

『論語と算盤』動機と結果

志が善でも行為が悪になることもあり、
また行為が善でも志が悪なることおるように思われる。

単に志が善ならその行為も善という説よりも、
その志と行為をくらべあわせて考えた上に
善悪を定めるという説のほうが確かである。

間違いなく、志は善です。ただ、異次元の金融政策であったはずのETF買いが長年続いている行為が善と思えません。最近、日銀のETF買いが減少していることから、志と行為が比べ合わせて考え始められているようです。

謹白

image by: 公益財団法人渋沢栄一記念財団 - Home | Facebook

渋澤 健(しぶさわ・けん)

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